愛媛のUA値・C値の推奨基準とは?
高性能住宅を見極める目標数値を解説

愛媛のUA値・C値の推奨基準とは?高性能住宅を見極める目標数値を解説

松山市・今治市・四国中央市・西条市・新居浜市エリアで注文住宅を検討されている皆様へ。
「愛媛は温暖だから、そこまで断熱にこだわらなくていい」という話を聞いたことはありませんか。
もしそうお考えなら、一度立ち止まってデータを見ていただく必要があります。

この記事では、愛媛で高性能住宅を手掛けるコウヨウが、これからの愛媛での家づくりにおいて、資産価値を守り、家族の健康を維持するために不可欠な「具体的な数値基準」を解説します。
なぜ「UA値0.46」と「C値0.5」が最適解なのか、その根拠を物理的・経済的な視点からひも解きます。
感覚的な「暖かい家」ではなく、数値に裏付けられた「賢い家づくり」の指針としてお役立てください。

※本記事は2025年10月時点の情報に基づき、一般的な高性能住宅の基準について解説するものです。個別の設計条件により数値は変動します。

愛媛県で建てる注文住宅のUA値とC値の推奨基準と目標数値

家の性能は「なんとなく」で決めてはいけません。
特に愛媛県(省エネ地域区分6地域)においては、以下の数値を明確な目標として設定することを強く推奨します。
この基準を満たすかどうかが、30年後も価値ある資産であり続けられるかの分かれ道となります。

※愛媛県内でも山間部(久万高原町など)では、一部地域区分が4地域や5地域となるエリアがあります。建設予定地の区分については必ずご確認ください。

断熱性能の目標
UA値 (HEAT20 G2)
0.46 以下
愛媛県(6地域)における最適解

気密性能の目標
C値 (実測値)
0.5 以下
cm²/m² (名刺サイズ以下の隙間)

UA値はHEAT20 G2グレードの0.46以下を判断基準にする

断熱性能を示すUA値(外皮平均熱貫流率)は、数値が小さいほど熱が逃げにくいことを表します。
国の定める省エネ基準やZEH基準(断熱等級5)はあくまで最低ラインに過ぎません。
私たちが愛媛で推奨するのは、民間規格「HEAT20」のG2グレード、つまりUA値0.46以下です。

なぜ0.46なのでしょうか。
愛媛県(6地域)におけるG2グレードの0.46という数値は、東京(5地域)のG2基準と同じであり、さらに寒い北関東(4地域)のG1基準と同等です。

出典)2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会

このレベルの断熱性能を確保することで、従来の基準(等級4)と比較して暖房に必要なエネルギーを大幅に削減できるというデータがあります。
G2グレード(UA値0.46)は、「我慢せずに家全体を暖めても光熱費が跳ね上がらない」経済的な分岐点と言えます。
これ以上の性能(G3など)ももちろん素晴らしいですが、建築コストとのバランス(投資対効果)を考えると、まずはG2を確実にクリアすることが、最も賢明な選択です。

C値は実測値で0.5以下を保証する高気密住宅を選ぶ

断熱性能(UA値)が設計図上の計算値であるのに対し、気密性能を示すC値(相当隙間面積)は、現場での施工精度を示す「実測値」です。
どれほど計算上の断熱性能が高くても、家に隙間があれば、そこから熱が逃げ、湿気が入り込みます。
愛媛での家づくりにおいて、C値は0.5 cm²/m²以下を目標にしてください。
これは延床面積100m²(約30坪)の家全体で、名刺サイズよりも小さい(約50cm²)程度の隙間しかない状態を指します。

C値が悪い(隙間が多い)と起きる問題

  • 換気システムの機能不全: 隙間から勝手に空気が入り、計画通りに汚れた空気を排出できません。
  • 壁内結露のリスク: 湿気が壁の中に入り込み、構造材を腐らせる原因になります。

特に、熱交換型の第1種換気システムを導入する場合、その性能を十分に発揮させるにはC値0.5以下が望ましいとされています。
C値は現場の職人の丁寧な仕事によってのみ作られます。
したがって、「C値0.5以下を保証する」ということは、その工務店が高い施工技術と厳格な管理体制を持っていることの証明でもあります。

高気密・高断熱な住宅が愛媛の気候で必要な理由とメリット

「温暖な愛媛でそこまで必要なのか?」という疑問に対する答えは「イエス」です。
高気密・高断熱・省エネ・耐震といった性能は、単なるスペック競争ではなく、暮らしの質と家計を直接的に守るための必須機能だからです。

夏は涼しく冬は暖かい温熱環境で光熱費を大幅に削減する

高性能住宅への投資は、日々の光熱費削減という形で戻ってきます。
シミュレーションによると、HEAT20 G2(断熱等級6相当)の住宅は、等級4の住宅と比較して年間で数万円単位の光熱費削減が見込めるとされています。

出典)断熱等級7の電気代削減効果|断熱等級5〜7の光熱費 …

経済的メリット

また、別の試算では、G2化によって年間約9万円の削減効果があるというデータも示されています。
これを35年間の住宅ローン期間で考えると、試算上、約315万円の削減効果となります。

出典)省エネ住宅は本当に得?光熱費シミュレーションで比較 …

さらに、愛媛の蒸し暑い夏においても、高気密・高断熱は威力を発揮します。
適切な日射遮蔽(日よけ)と組み合わせることで、魔法瓶のように涼しさを保ち、エアコンの効きを劇的に良くします。
特にC値が良い(隙間が少ない)と、湿気の侵入を防げるため、少ないエネルギーでサラサラとした快適な空間を作ることができます。

ヒートショックのリスクを低減し家族の健康と安全を守る

経済的なメリット以上に大切なのが、家族の健康です。
交通事故よりも多いとされる入浴中の死亡事故(ヒートショック)は、実は北海道などの寒冷地よりも、愛媛のような温暖地での発生率が高い傾向にあります。
これは「家の中の温度差」に対する油断があるためです。

WHO(世界保健機関)は、冬の室内温度として「18℃以上」を強く勧告しています。
G2グレード(UA値0.46)の断熱性能があれば、少ないエネルギーでリビングだけでなく、廊下や脱衣所まで含めた全館暖房が可能になります。
家中の温度差をなくすことは、ヒートショックのリスクを減らすだけでなく、活動的な生活を支え、結果として医療費や介護リスクの低減にもつながります。
家族が長く健やかに暮らすための「温度のバリアフリー」こそ、高性能住宅の本質的な価値です。

数値にこだわる工務店を見極めて後悔しない家づくりをする方法

目標とする数値が決まっても、それを実現できる施工会社でなければ意味がありません。
「高気密・高断熱」を謳う会社は多いですが、その実力を見極めるための具体的なチェックポイントをご紹介します。

全棟気密測定を実施している会社で実測値の報告を求める

最も確実な方法は、「全棟で気密測定を行っているか」を確認することです。
モデルハウスだけの測定や、オプション対応ではなく、「全棟標準」で実施している会社を選んでください。

気密性能(C値)は、現場ごとの職人の腕に左右されます。
全棟測定を行っている会社は、万が一数値が悪ければ是正工事を行う仕組みを持っており、常に施工品質を厳しくチェックしています。

逆に「愛媛ではそこまで必要ない」「気密を上げると息苦しくなる」といった非科学的な説明をする会社は避けたほうが無難です。
「気密が高いと息苦しい」というのは、20年前の古い常識です。現代の高気密住宅は、24時間換気システムが計画通りに機能するため、むしろ隙間だらけの家(C値が悪い家)よりも空気は新鮮に保たれます。気密をおろそかにする会社は、換気計画が機能不全に陥り、結露やカビによる健康被害リスクを放置しているのと同義です。

デザインと性能を両立した施工事例と受賞歴を確認する

性能数値が良いことは大前提ですが、それだけで「良い家」とは限りません。
数値のために窓を極端に小さくしたり、デザインを犠牲にしたりしては、豊かな暮らしはかなえられません。
性能(UA値・C値)と、意匠(デザイン・開放感)を高いレベルで両立させている会社を見極めるには、第三者機関による評価が役立ちます。

特に「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」の受賞歴は重要な指標です。
この賞は、外皮性能や設備だけでなく、パッシブデザインなどの取り組みや、トータルでの住環境の質を審査するものです。

出典)ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー 2023 – 日本地域開発センター

AWARD

私たちコウヨウでは、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」を8年連続で受賞しており、その中には大賞(1回)や特別優秀賞といった高い評価も含まれています。
この8年連続受賞という実績は、一過性のブームではなく、創業以来積み上げてきた技術力が第三者機関によって客観的に保証されていることを意味します。お客様にとっては、「どの棟を選んでも、高い省エネ性能と快適性が標準装備されている」という安心の証として判断いただけます。

数値に基づいた確かな性能と、心を満たす美しいデザイン。
どちらも妥協したくない方は、ぜひ私たちの取り組みをご覧ください。

コウヨウの家づくりに関連する情報

愛媛のUA値とC値に関するよくある質問と回答

最後に、高性能住宅を検討される際によくいただくご質問にお答えします。

Q.UA値やC値が良いと建築コストはどれくらい高くなりますか?

A.一般的に、省エネ基準ギリギリの住宅と比較すると、G2グレード(UA値0.46)・C値0.5以下の住宅にするためには、イニシャルコスト(建築費)で150万〜200万円程度の増額になるケースが多いです。
断熱材の厚みを増したり、高性能なサッシ(窓)を採用したり、丁寧な気密施工を行うための手間がかかるためです。

しかし、前述の通り光熱費の大幅な削減効果により、20年〜25年程度でその差額は回収できると試算されています。
また、将来的な資産価値の維持という点でも有利です。
2030年にはZEH水準が標準化される見込みであり、今のうちに高性能にしておくことは、将来的に「既存不適格」のような扱いを受けず、資産価値を守ることにつながります。
私たちは、目先の価格だけでなく、30年、50年という長いスパンでの「生涯コスト」を抑える提案を大切にしています。

Q.断熱性能が高すぎると夏に暑くなるというのは本当ですか?

A.これは「日射遮蔽(日よけ)」が不十分な場合に起こる現象です。
高断熱な家は保温性が高いため、窓から太陽の熱を一度入れてしまうと、その熱を逃がしにくくなり、オーバーヒートを起こすことがあります。

しかし、これは断熱性能自体の問題ではなく、設計の問題です。
南面の窓に庇(ひさし)やアウターシェードを設けて夏の日差しをカットする、西日が入る窓を小さくするといった「パッシブデザイン」を適切に行えば、夏でも驚くほど涼しい環境を作れます。
高気密・高断熱の「器」と、太陽をコントロールする「設計力」が組み合わさることで、夏も冬も快適な住まいはかなえられます