愛媛県内で性能や資産価値にこだわった新築一戸建てを検討されている方にとって、「長期優良住宅」という言葉は非常に気になる選択肢ではないでしょうか。
この記事では、愛媛で長期優良住宅を建てることを具体的に考えるために必要な情報を網羅的に解説します。そもそも長期優良住宅とは何かという基礎知識から、 国や愛媛県独自の税制優遇(メリット) 、そして見落としがちな初期費用やメンテナンス義務(デメリット)まで、深く掘り下げていきます。
さらに、複雑とされる申請の具体的な流れや、愛媛県内特有の注意点、そして信頼できるパートナー(工務店・ハウスメーカー)の選び方まで、専門的な視点から分かりやすくお伝えします。
この記事を最後までお読みいただくことで、長期優良住宅がご自身の家づくりにとって本当に「賢明な投資」となるのかを判断するための、確かな知識が身につくはずです。
免責事項:本記事に記載されている情報は、2025年11月時点の調査に基づいています。各種の税制優遇措置や補助金制度は、年度や社会情勢によって変更される可能性があります。最新かつ正確な情報については、国土交通省、愛媛県、各市町村の公式ウェブサイトをご確認いただくか、家づくりの専門家にご相談ください。
長期優良住宅とは?愛媛で建てる前に知るべき認定基準と基礎知識
長期優良住宅とは、その名の通り「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」のことを指します。
これは国の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、所管行政庁(愛媛県や松山市、今治市、四国中央市、西条市、新居浜市など)によって正式に「認定」されるものです。
なぜ今、この長期優良住宅が注目されているのでしょうか。それは、単に「長持ちする家」というだけでなく、 耐震性、省エネルギー性、維持管理の容易さ など、将来にわたって高い品質と資産価値を保ち続けるための厳格な基準が設けられているからです。
長期優良住宅の認定を受けるために必要な性能基準
新築の一戸建て住宅が長期優良住宅の認定を受けるためには、主に以下の基準をすべて満たす必要があります。これらは、私たちが考える「本当に良い家」の要素とも深く関わっています。
劣化対策(等級3)
「数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること」が求められます。具体的には、シロアリ対策や木材の腐朽対策が最高等級である「劣化対策等級3」への適合が必要です。床下や小屋裏(屋根裏)に点検口を設け、将来のメンテナンスがしやすい設計であることも含まれます。
耐震性(等級2以上)
家と家族の安全を守る、非常に重要な基準です。建築基準法で定められた耐震性能(等級1)の1.25倍以上の耐力を持つ「耐震等級2」以上、または免震建築物であることが求められます。地震の多い日本において、この基準は大きな安心材料となります。
維持管理・更新の容易性(等級3)
構造躯体(家の骨組み)に比べて耐用年数が短い水道管やガス管、排水管などについて、点検や清掃、補修、交換といった維持管理を簡単におこなえる措置が求められます。具体的には「維持管理対策等級(専用配管)」で等級3の基準を満たす必要があります。
省エネルギー性(等級4以上)
日々の暮らしの快適さと光熱費に直結する基準です。必要な断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていること、具体的には「断熱等性能等級4」または「断熱等性能等級3かつ一次エネルギー消費量等級4」を満たす必要があります。
居住環境
その住宅が、地域のまちなみや居住環境の維持・向上に配慮されていることも求められます。例えば、景観計画や建築協定などが定められている区域では、それらの内容と調和を図る必要があります。
住戸面積
良好な居住水準を確保するために必要な広さも定められています。一戸建て住宅の場合、75㎡以上であることが必要です(ただし、少なくとも1つの階の床面積が40㎡以上であること)。
維持保全計画
これが長期優良住宅の大きな特徴の一つです。建築時から将来を見据え、定期的な点検や補修などに関する具体的な計画(維持保全計画)があらかじめ策定されていることが必須です。
災害配慮
自然災害による被害の発生防止や軽減に配慮されていることも求められます。例えば、土砂災害特別警戒区域など、災害リスクが高い地域においては、認定を受けるために所管行政庁が定めた措置を講じる必要があります。
なお、これらの基準に加え、共同住宅や長屋の場合は、将来の間取り変更に対応するための「可変性」に関する基準も求められます。
「一般住宅」と「長期優良住宅」の具体的な違いを比較
では、これらの基準を満たした長期優良住宅は、一般的な住宅と具体的に何が違うのでしょうか。特に重要な「性能」や「将来の維持管理」について、その違いを表にまとめました。
| 比較項目 | 一般住宅(現行の建築基準法) | 認定長期優良住宅 |
|---|---|---|
| 耐震性 | 耐震等級1(震度6強~7で倒壊・崩壊しない) | 耐震等級2以上(等級1の1.25倍以上) |
| 省エネ性 | 2025年から義務化される基準 | 断熱等性能等級4以上 など(より高い基準) |
| 劣化対策 | 特段の定めなし | 劣化対策等級3(数世代もつ構造) |
| 維持管理 | 義務なし | 点検口の設置、配管の点検容易性(等級3) |
| メンテナンス | 義務なし | 維持保全計画の策定・実行義務あり |
| 地震保険料 | 割引なし(耐震等級1は10%割引) | 割引率30%~50%(等級2または3) |
| (出典:長期優良住宅(戸建住宅)の8つの認定基準、長期優良住宅(増築・改築)の認定を受けるためには…、長期優良住宅認定制度の概要について、地震保険の割引率まとめ ほか) | ||
このように、長期優良住宅は、 「建てる時の性能」 (耐震性、省エネ性、劣化対策)が公的に保証されているだけでなく、 「建てた後の未来」 (維持管理の容易さ、メンテナンス計画、保険料割引)まで見据えた制度であることが分かります。
愛媛県内における長期優良住宅の普及状況と近年の傾向
こうした性能や将来性への関心の高まりを受け、長期優良住宅を選ぶ方の割合は全国的に増加傾向にあります。
これは、今や注文住宅を建てる方の過半数が、一般住宅ではなく長期優良住宅という選択をしているという明確なトレンドを示しています。
全国の認定戸数(新築・一戸建て)は、令和6年度末(2025年3月)時点で累計1,694,243戸にのぼります。
この国土交通省のレポートには都道府県毎の認定実績(別添資料)も詳細に含まれています。愛媛県内においても、性能と資産価値を重視する多くの方が長期優良住宅を選んでいることが、この公的なデータからもわかります。
愛媛で長期優良住宅を建てる5つの主要なメリット
長期優良住宅の基準が厳しいものであることはお分かりいただけたかと思います。では、その高い基準をクリアすることで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
特に愛媛県で建てる場合、国の制度に加えて県や市独自の優遇措置が用意されている点が大きな魅力です。
メリット1:住宅ローン控除や税制優遇(固定資産税など)が受けられる
経済的な負担を軽減する手厚い税制優遇 です。長期優良住宅は、一般の住宅に比べて様々な税金が優遇されます。
| 税制 | 一般住宅(省エネ基準適合) | 認定長期優良住宅 | メリットのポイント(愛媛県) |
|---|---|---|---|
| 住宅ローン控除(所得税・住民税) | 借入限度額 3,000万円 | 借入限度額 4,500万円(※1) | より高額のローン残高(0.7%)が控除対象となる(国の制度)。 |
| 固定資産税 | 1/2減額(3年間) | 1/2減額(5年間) | 減額期間が2年間延長される(例:松山市)。 |
| 不動産取得税 | 控除額 1,200万円 | 控除額 1,300万円 | 愛媛県の条例により、控除額が100万円上乗せされる。 |
| 登録免許税(所有権保存登記) | 税率 0.15% | 税率 0.1% | 税率が優遇される(国の制度)。 |
| (※1:子育て世帯等は5,000万円。2025年入居時点のものです) (出典:住宅ローン減税、認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額制度、住宅及び住宅用土地の軽減、長期優良住宅は固定資産税の優遇以外にも減税制度あり! ほか) |
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注目すべきは、 愛媛県独自の優遇措置 です。 国の制度(住宅ローン控除、登録免許税)に加えて、愛媛県が独自におこなっている 不動産取得税の控除額100万円上乗せ (令和8年3月31日取得まで)は、非常に大きなメリットです。
さらに、固定資産税の減額期間が、松山市などの市町村条例により一般住宅の3年間から 5年間に2年間も延長 されます。
出典)認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額制度 松山市公式 …
メリット2:愛媛県や各市町村独自の補助金・助成金制度を活用できる
初期費用を抑えるためには、補助金の活用が鍵となります。長期優良住宅の高い性能は、国の大型補助金はもちろん、愛媛県独自の助成金の対象にもなります。
| 制度名 | 管轄 | 対象(概要) | 補助金額(上限) |
|---|---|---|---|
| 子育てエコホーム支援事業(※後継事業含む) | 国 | 長期優良住宅(子育て世帯・若者夫婦世帯) | 最大100万円/戸 |
| えひめ材の家づくり促進支援事業 | 愛媛県 | 県産材(スギ、ヒノキ)を主要部材に概ね80%以上使用 など | 19.8万円/件(※2)+梁・桁加算 6.0万円 |
| 宇和島市南予の木で家づくり支援 | 市(宇和島市) | 南予産木材の使用量に応じる | 1.2万円/㎥(上限50万円) |
| (※2:森林認証材の使用で24.3万円に増額。令和7年度の例です) (出典:国土交通省「子育てエコホーム支援事業」公式情報(2024年度実績)、【令和7年度えひめ材の家づくり促進支援事業実施要領】木と …、宇和島市南予の木で家づくり支援事業について) |
|||
賢明な家づくりのためには、これらの補助金を戦略的に「重ねがけ」 することが重要です。 例えば、愛媛県の「えひめ材の家づくり促進支援事業」は、国の「地域材」を使用する補助金との重複はできませんが、国の「子育てエコホーム支援事業」(※後継事業含む)のような 「省エネ性能」に対する補助金とは併用が可能です。
出典)【令和7年度えひめ材の家づくり促進支援事業実施要領】木と …
こうした複雑な制度を正確に把握し、設計段階から「県産材80%以上」といった条件と「長期優良住宅の省エネ基準」を両立させるプランニングが、初期費用を抑えるための「最適解」となります。
メリット3:地震や自然災害に対する高い耐震性・安全性の確保
メリットは経済的なものだけではありません。長期優良住宅の認定基準である「耐震等級2」または「耐震等級3」は、ご家族の安全な暮らしを守る基盤となります。
特に愛媛県が備えるべき最大の災害リスクである「南海トラフ地震」においては、震度6強~7の強い揺れが想定されています。建築基準法(耐震等級1)は「倒壊・崩壊しない」ことを目的としていますが、長期優良住宅の基準(耐震等級2以上)は、その1.25倍以上の耐力を持つことで、倒壊しないだけでなく、地震後の「補修(リフォーム)によって住み続けられる」可能性を高める、より高いレベルの安全性を目指すものです。
そして、この公的に証明された高い耐震性は、そのまま「地震保険料」という経済的メリットにも直結します。
| 耐震等級 | 割引率 | 備考 |
|---|---|---|
| 耐震等級1 | 10% | 一般的な新築住宅(1981年以降) |
| 耐震等級2 | 30% | 長期優良住宅の最低基準 |
| 耐震等級3 | 50% | 長期優良住宅で取得可能 |
| 免震建築物 | 50% | 長期優良住宅の基準 |
| (出典:長期優良住宅は固定資産税の優遇以外にも減税制度あり!、地震保険の割引率まとめ ほか) | ||
もし耐震等級3の認定を取得すれば、 地震保険料が半額 になります。これは、家を所有し続ける限りずっと続くメリットであり、将来的な支出(ライフサイクルコスト)を大きく削減することにつながります。
メリット4:将来的な資産価値の維持と売却時の有利性
家づくりを「未来への投資」と捉える方にとって、資産価値の維持は重要なテーマです。長期優良住宅は、この点において二つの大きな強みを持ちます。
- 公的に証明された高性能
- 認定住宅は「数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できる」という高い耐久性(劣化対策等級3)を公的に証明されています。
- 信頼できるメンテナンス履歴
- 認定には「維持保全計画」の策定と実行が必須です。これにより、将来もし住宅を売却することになった場合、建築時の性能だけでなく、法律に基づいた点検・修繕の「メンテナンス履歴(住宅履歴情報)」を次の買い主に明確に提示できます。
一般的な中古住宅が「いつ、どのようなメンテナンスをされたか分からない」のに対し、「公的に認定された高性能」と「計画的な実行履歴」を証明できることは、市場において圧倒的な信頼性となり、資産価値の維持に直結します。
メリット5:高い断熱性・省エネ性による光熱費の削減効果
愛媛の気候は、瀬戸内海側特有の「高温多湿」な夏と、冬の冷え込みが特徴です。 長期優良住宅の認定基準である「断熱等性能等級4」以上は、高い省エネルギー性を担保します。
これは、愛媛の夏の蒸し暑さや冬の冷え込みに対応し、 エアコンなどの冷暖房効率を高め、日々の光熱費を削減する ことに直結します。 また、この高い断熱性・気密性は、壁内部の結露を防ぐことにもつながります。湿気による木材の腐朽(ふきゅう)は、家の耐久性にとって大敵です。長期優良住宅の「劣化対策等級3」と「高い省エネ性能(断熱性)」は、高温多湿な愛媛の気候において、家の寿命を守るためにも密接に関連しているのです。
私たちコウヨウが大切にしている「高気密・高断熱・省エネ・耐震」という家づくりの基本性能は、まさに長期優良住宅の基準と深く重なるものです。
長期優良住宅の認定は、快適で経済的な暮らしを実現するための、信頼できる性能の「証」として機能します。
契約前に知るべき長期優良住宅の3つのデメリットと注意点
ここまで多くのメリットをご紹介しましたが、物事には必ず両面があります。メリットだけを見て契約を進めるのは「賢明な選択」とは言えません。
ここでは、契約前に必ず知っておくべきデメリットと注意点を客観的に解説します。そして、それらのデメリットが「未来への投資」という観点からどう捉えられるかを一緒に考えていきましょう。
デメリット1:建築コストの増加(初期費用)がどの程度か
最も現実的なデメリットは、 一般の住宅に比べて建築時の初期費用(建築コスト)が高くなる ことです。
これは、耐震等級2以上を実現するための構造計算や建材、劣化対策等級3のための防蟻・防腐処理、断熱等性能等級4を満たすための高性能な断熱材や窓サッシなど、高い基準をクリアするための追加コストが必要になるためです。 また、後述する申請費用も発生します。
しかし、この「初期費用の増加」は、デメリットとして切り捨てるべきなのでしょうか。 メリットの章で解説した経済的な合理性を思い出してください。
- ・税制優遇 :住宅ローン控除の限度額増加、愛媛県独自の不動産取得税控除(100万円)、固定資産税の減額期間延長(2年)。
- ・補助金 :国(最大100万円)+愛媛県(最大約26万円)などの活用。
- ・保険料割引 :地震保険料(最大50%割引)。
- ・光熱費削減 :高い省エネ性能によるランニングコストの低減。
これらのメリットは、将来にわたって家計を助けてくれるものです。 初期費用の増加は、単なる「消費(Cost)」ではなく、将来の支出を確実に抑制するための「賢明な初期投資(Investment)」と捉える視点が大切です。
実際に、愛媛県(松山市・延床30坪)で建てる場合のモデルケースで、トータルコストがどう変わるかを見てみましょう。 (※下記の数値は、一般的な相場に基づいた私たちコウヨウ独自の試算であり、実際の仕様や条件によって変動します)
| 項目 | 一般住宅(省エネ基準適合) | 認定長期優良住宅 | 差額(メリット) |
|---|---|---|---|
| ① 初期コスト増(申請費用含む) | 0円 | +150万円 | -150万円 |
| ② 補助金(子育てエコホーム+えひめ材) | 0円 | -126万円 | +126万円 |
| ③ 不動産取得税(愛媛県独自優遇) | 基準 | -12万円(※控除額100万円×税率) | +12万円 |
| 初期投資の実質差額 | 基準 | +12万円 | (①+②+③) |
| ④ 30年間の光熱費削減(試算) | 基準 | -180万円(年6万円削減) | +180万円 |
| ⑤ 30年間の地震保険料割引(等級3) | 基準(割引10%) | -45万円(割引50%) | +45万円(※仮) |
| ⑥ 30年間の固定資産税(松山市の例) | 基準(3年減額) | -30万円(5年減額) | +30万円(※仮) |
| 30年トータルメリット | 基準 | +243万円 |
このように、私たちの試算では、補助金や税優遇によって 初期費用の実質的な負担増はほぼ相殺 され、さらに30年間という長期的な視点で見れば、光熱費や保険料の削減によって、一般住宅よりも200万円以上「賢明な選択」となる結果になりました。 (※このシミュレーションはあくまで一例です。詳細な資金計画は、ぜひ私たちにご相談ください。)
デメリット2:申請手続きの複雑さと着工までの期間
長期優良住宅の認定プロセスは、一般の住宅建築(建築確認申請のみ)と比べて複雑であり、 着工するまでに時間がかかります 。
まず、所管行政庁(市や県)に申請する前に、国土交通省の登録を受けた第三者機関(「登録住宅性能評価機関」と呼ばれます)による技術的な審査を受け、「確認書」を事前に取得する必要があります。
出典)住宅性能を公平な立場で評価!全国にある住宅性能評価機関について
この「評価機関」と「行政」という二重の手続きを経るため、申請書類の受理から認定通知書が交付されるまで、 標準的な処理期間だけでも数週間から数ヶ月 を要します(構造計算の有無などによります)。
原則として、この認定通知を受けてからでなければ住宅を着工できません。 家づくりを急いでいる方にとっては、この「時間」がデメリットと感じられるかもしれません。 この複雑な手続きは、お客様ご自身でおこなうことは現実的ではありません。だからこそ、こうした 煩雑な申請プロセスをワンストップで代行できる、経験豊富な工務店 をパートナーに選ぶことが極めて重要になります。
デメリット3:認定後の定期点検(メンテナンス)の義務と維持費用
見落としがちですが、非常に重要な注意点です。 長期優良住宅は、「建てて終わり」ではありません。認定時に策定した「維持保全計画」に基づき、法的に定期的な点検とメンテナンスを実行する義務が課せられます。
この維持保全期間は、 認定時から30年以上 と定められています。
計画には、構造躯体や設備の定期点検(地震や台風の後には臨時点検を含む)や、その結果に基づく調査、修繕、改良の実施が求められます。
この「義務」とそれに伴う「維持費用」は、一見すると負担(デメリット)に感じられるかもしれません。 しかし、家を「投資」と捉え、「資産価値の維持」を目標とするならば、これは「投資した資産(家)の価値を、公的な計画に基づいて30年以上守り続けるための『資産防衛プログラム』」と再定義することができます。
何も計画がなければ怠りがちなメンテナンスを、法律という仕組みが後押ししてくれる。そう考えることで、このデメリットは長期的な安心感へと変わります。
長期優良住宅の申請プロセスと流れを4ステップで解説
では、実際に長期優良住宅の認定を受けるには、どのようなプロセスを経るのでしょうか。先ほど触れた「二重の手続き」の複雑さを含め、全体の流れを4つのステップで解説します。
ステップ1
認定基準を満たす住宅の設計と計画の策定
まず、私たち工務店や設計事務所が、お客様のご要望を伺いながら、長期優良住宅の性能基準(耐震性、省エネ性、劣化対策など)を満たす設計図書を作成します。 同時に、30年以上にわたる「維持保全計画書」も策定します。
ステップ2
登録住宅性能評価機関による技術的審査
所管行政庁(市や県)に申請する 前 に、国土交通省の登録を受けた第三者機関(愛媛県内では「愛媛建築住宅センター」など)に対し、「長期使用構造等であることの確認申請」をおこないます。
この機関が、設計図書が技術的な基準に適合しているかを専門的に審査します。 基準に適合していると認められると、「長期使用構造等である旨の確認書」が交付されます。
ステップ3
所管行政庁(愛媛県または市)への認定申請
ステップ2で取得した「確認書」と、その他の必要書類(設計図書、維持保全計画書、建築確認申請書など)一式を揃え、建設地の「所管行政庁」へ認定申請をおこないます。
ここで愛媛県特有の注意点があります。 この 申請先(所管行政庁)が、建設地の市や町によって「市」が直接窓口になる場合と、「愛媛県(各地方局)」が窓口になる場合に分かれており、統一されていません。
| 建設地(市・町) | 所管行政庁(申請先窓口) |
|---|---|
| 松山市 | 松山市 (開発建築部 建築指導課) |
| 今治市 | 今治市 (建設部 建築審査課) |
| 四国中央市 | 愛媛県(四国中央土木事務所 用地管理課 建築指導係) |
| 西条市 | 西条市 (建設部 建築審査課) |
| 新居浜市 | 新居浜市 (建設部 建築指導課) |
| 西予市 | 愛媛県 (南予地方局 建築指導課) |
| 東温市 | 愛媛県 (中予地方局 建築指導課) |
| 松前町 | 愛媛県 (中予地方局 建築指導課) |
| 砥部町 | 愛媛県 (中予地方局 建築指導課) |
| (出典:認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額制度、認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額、長期優良住宅認定制度 – 愛媛県新居浜市ホームページ、認定を受けようとする住宅の所在地 ほか) | |
このように、愛媛県独自の複雑な行政区分が存在することが、申請手続きのハードルを上げています。
ステップ4
認定通知書の受領と住宅の着工・完成
所管行政庁での審査(標準処理期間として数週間〜数ヶ月)を経て、すべての基準を満たしていると認められると、ようやく「認定通知書」が交付されます。
原則として、この認定通知を受けてから住宅の工事を着工します。
そして工事が完了したら、速やかに「工事完了報告書」を行政に提出し、計画通りに建築されたことを報告することで、すべてのプロセスが完了となります。
愛媛で長期優良住宅の相談ができる工務店・ハウスメーカーの選び方
これまで見てきたように、長期優良住宅は、メリットを最大化し、デメリット(特に手続きの複雑さや将来のメンテナンス)を乗り越えるために、 信頼できる家づくりのパートナー選び が何よりも重要になります。
では、愛媛県内で長期優良住宅を相談する際、どのような基準で工務店・ハウスメーカーを選べばよいのでしょうか。
01
愛媛県内での長期優良住宅の建築実績が豊富かを確認する
今や注文住宅の過半数(57.3%)が長期優良住宅を選んでいるトレンドの中、その建築実績が豊富であることは、「客観的な信頼性」を測る重要な指標です。
02
複雑な申請手続きの代行サポート体制が整っているか
申請プロセスは、「登録住宅性能評価機関」と「所管行政庁」の二重の手続きが必要です。さらに愛媛県では、その行政窓口が「松山市」などの市と「愛媛県(地方局)」に分かれており、非常に複雑です。
これらの煩雑なプロセスをすべてお客様に代わって ワンストップで代行し、お客様の負担を完全にゼロにできる サポート体制が整っているかは、必須の確認項目です。
03
補助金制度の活用ノウハウと最適なプランを提案できるか
「賢明な投資」を実現するためには、補助金制度を最大限に活用することが不可欠です。
国の「子育てエコホーム支援事業」のような大型補助金だけでなく、「愛媛県えひめ材の家づくり促進支援事業」や、宇和島市などの各市町村独自の制度まで熟知している必要があります。
さらに重要なのは、それらの補助金要件(県産材の使用率など)を、設計の初期段階からプランに組み込み、 複数の補助金を「重ねがけ」できる最適なプランニング能力 を持っていることです。
04
アフターメンテナンスと定期点検の体制が信頼できるか
長期優良住宅の認定を維持するためには、「30年以上の維持保全計画」の実行が法的に義務付けられています。
「建てて終わり」の関係ではなく、この法的な義務を「資産防衛プログラム」としてお客様と共有し、将来にわたって確実にサポートし続けられる、 信頼性と継続性のある企業 を選ぶ必要があります。
私たちコウヨウ(興陽商事株式会社)は、ご紹介した長期優良住宅の基準を「最低限クリアすべきライン」として捉え、その上で、お客様の理想のくらしを実現する「最適解」をご提案することを使命としています。
私たちが最重要視する「高気密・高断熱・省エネ・耐震」という4つの基本性能は、まさに長期優良住宅の核となる考え方そのものです。
愛媛の気候風土を知り尽くした私たちだからこそできる、国の「子育てエコホーム支援事業」と愛媛県の「えひめ材の家づくり促進支援事業」を両立させるような、賢明な資金計画のご提案も得意としています。
そして何より、愛媛県独自の複雑な行政手続き(松山市、今治市、四国中央市、西条市、新居浜市など)や、第三者機関への申請といった煩雑なプロセスは、すべて私たちに安心してお任せください。
認定後の30年以上にわたる法的なメンテナンス義務も、私たちにとっては「お客様の大切な資産価値を共にお守りする」ための大切なプロセスです。
長期優良住宅の性能と、建築家による洗練されたデザイン。その両方を高いレベルで実現する私たちの家づくりにご興味をお持ちいただけましたら、まずは詳しい資料をご請求ください。
愛媛の長期優良住宅に関するよくある質問(FAQ)
最後に、長期優良住宅に関してよく寄せられるご質問にお答えします。
- Q:申請にはどれくらいの費用や期間がかかりますか?
-
A:期間について:
前述の通り、所管行政庁(市や県)の審査期間として21日~53日程度(構造計算の有無などによる)が標準とされています。
ただし、これは行政への申請後の期間であり、その前段階である「登録住宅性能評価機関」による技術的審査の期間が別途必要です。
トータルでは数ヶ月を要するため、一般の住宅より着工までの準備期間が長くなります。
A:費用について:
申請費用は、大きく分けて2種類あります。
- 登録住宅性能評価機関に支払う「技術的審査料」
- 所管行政庁(市や県)に支払う「認定申請手数料」
行政手数料(2)は自治体により異なり、申請先の所管行政庁(松山市、今治市、四国中央市、西条市、新居浜市、または愛媛県)の定めによりますが、一般的に技術的審査料(1)に比べると少額です。
費用の大部分は、1.の技術的審査料(および、それを工務店が代行する場合の申請代行料)となり、設計内容や評価機関によって異なりますが、一般的に数十万円程度が相場です。
- Q:中古住宅でも長期優良住宅の認定は受けられますか?
-
A:はい、可能です。国の制度改正により、新築だけでなく既存(中古)住宅も認定対象となりました。
出典)長期優良住宅に係る認定基準 技術解説 (令和7 年4 月1 日版)
申請には主に2つのパターンがあります。
- 増築・改築を伴う場合:リフォームや増改築と同時に、認定基準を満たすための工事をおこなって申請します。
出典)長期優良住宅とは「中古住宅の長期優良住宅について」 - 建築行為を伴わない場合:すでに長期優良住宅の基準を満たしている良質な既存住宅を、そのまま認定申請します。
出典)建築行為を伴わない既存住宅の長期優良住宅認定等
いずれの場合も、新築とほぼ同様の基準(劣化対策、耐震性、省エネ性など)を満たす必要があり、認定時から30年以上の維持保全計画の策定も必須です。
認定されれば、中古住宅向けの住宅ローン控除などの優遇措置が受けられます。出典)住宅ローン減税|国土交通省
- 増築・改築を伴う場合:リフォームや増改築と同時に、認定基準を満たすための工事をおこなって申請します。
- Q:認定が取り消されることはありますか?
-
A:はい、 あります 。認定が取り消される主な理由は以下の2つです。
- 無断での変更: 認定を受けた「長期優良住宅建築等計画」に対し、所管行政庁の「変更認定申請」を受けずに、無断でリフォームや増改築を行った場合。(※省令で定める「軽微な変更」の場合は報告書で可)。
出典)長期優良住宅建築等計画等認定制度について - メンテナンスの不履行: 法的に義務付けられている「維持保全計画」に基づく定期点検や必要な修繕を怠り、行政からの是正勧告にも従わない場合。
出典)長期優良住宅認定制度の概要
もし認定が取り消された場合、それまでに受けた税制優遇(固定資産税の延長分など)の返還(追徴課税)を求められます。
これは、家を「投資」と考える方にとって最大の「投資失敗」となりかねません。 このリスクを避けるためにも、認定後のアフターメンテナンスを確実にサポートしてくれる、信頼できる工務店を選ぶことが不可欠です。
- 無断での変更: 認定を受けた「長期優良住宅建築等計画」に対し、所管行政庁の「変更認定申請」を受けずに、無断でリフォームや増改築を行った場合。(※省令で定める「軽微な変更」の場合は報告書で可)。