愛媛で家を建てることは、単に住む場所を確保することではありません。それは、極めて高い確率で発生すると予測される「南海トラフ巨大地震」という未確定のリスクに対し、ご家族の命と資産を守るための具体的な対策を講じるプロジェクトです。
結論から申し上げます。愛媛県において、本当に安心できる住まいを実現するための最適解は、「許容応力度計算に基づいた耐震等級3」の家を建てることです。
なぜなら、同じ「等級3」というラベルが貼られていても、その計算プロセスが異なれば、実際に巨大地震が起きた際の建物の挙動、すなわち「全壊」か「無傷」かという結果は大きく異なる可能性があるからです。
この記事では、愛媛県特有の地震リスクを定量的なデータに基づいてひも解き、構造計算(許容応力度計算)がなぜ不可欠なのか、その工学的根拠を詳しく解説します。そして、耐震性を高めることがデザインの制約になるという誤解を解き、むしろテクノロジーこそが理想の空間設計を可能にする事実をお伝えします。
本記事は、住宅建築に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の物件や個別の契約内容を保証するものではありません。詳細な仕様や条件については、必ず個別にご確認ください。
愛媛の耐震性能は等級3が最低ライン|南海トラフ地震のリスクと求められる基準
私たち愛媛県民にとって、南海トラフ巨大地震は避けて通れない現実的な脅威です。プロジェクトのリスク管理において、発生確率と影響度の高さを見積もるように、まずは私たちが直面している状況を客観的な数字で把握する必要があります。
政府の地震調査研究推進本部が公開しているデータによると、例えば松山市の特定の地点(三番町周辺など)において、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は47.4%に達します。さらに、震度6強以上の激しい揺れに遭遇する確率も約10.9%とされています。
今後30年以内の発生確率
(松山市三番町周辺例)
震度6弱以上
10回に1回以上の確率
(重大なリスク領域)
震度6強以上
一般的なプロジェクト管理において、5%を超えるリスクは看過できない重大な懸念事項として扱われます。ましてや約11%という数字は、10回に1回以上の確率で発生することを意味し、災害が「もし起きたら」ではなく「いつ起きてもおかしくない」という前提で計画を立てるべき段階にあります。
さらに重要なのは、その揺れの要因です。同地点におけるリスク要因の約79%は「南海トラフ沿いで発生する大地震」によるものと予測されています。
南海トラフ地震のような海溝型地震は、震度7クラスの激しい揺れが長く続く特徴があります。こうした過酷な環境下において、建築基準法で定められた最低基準である「耐震等級1」は、「震度6強から7の地震で倒壊・崩壊しない(=命を守る)」ことを目標としていますが、これは裏を返せば「損傷して住めなくなる可能性」は許容している基準です。
震度6強以上の発生確率が10%を超える愛媛県において、被災後もそのまま住み続け、生活と資産を守り抜くためには、消防署や警察署など防災拠点と同等の強度を持つ「耐震等級3」が、家づくりにおける最低限のスタートラインであると私たちは考えます。
耐震等級3でも倒壊する?壁量計算と許容応力度計算の決定的な違い
「耐震等級3なら、どの会社で建てても同じだろう」。そう思われる方は少なくありません。しかし、ここには大きな落とし穴があります。実は、同じ「耐震等級3」を謳っていても、その強度を証明するための計算方法には、「壁量計算(仕様規定)」と「許容応力度計算(構造計算)」という、精度の全く異なる二つの手法が存在するのです。
壁量計算(仕様規定)とは、建築基準法で定められた簡易的なチェック方法です。建物の床面積に応じて必要な壁の量(長さ)を算出し、それが配置されているかを確認します。多くの一般的な木造住宅ではこの方法が採用されていますが、あくまで簡易的な確認にとどまるため、建物の具体的な重さや、地震の力がどのように伝わっていくかという詳細な解析までは行われません。
出典)許容応力度計算と壁量計算の違い – 株式会社メイクハウス
一方、私たちが標準採用している許容応力度計算は、柱一本、梁一本、そしてそれらをつなぐ金物の一つひとつに対し、どのような力が加わり、それに耐えられるかを詳細にシミュレーションする本格的な構造計算です。
この二つの違いは、計算書の量を見れば一目瞭然です。壁量計算が数枚の図面チェックで終わるのに対し、許容応力度計算では数百ページに及ぶ計算書が作成されます。これは、家の安全性を証明するための「詳細なカルテ」のようなものです。
過去の熊本地震(2016年)では、震度7の揺れが2回も襲うという過酷な状況下で、壁量計算による等級3相当の住宅の一部に被害が出た事例がありました。一方で、許容応力度計算を実施していた耐震等級3の住宅は、その多くが無被害または軽微な損傷で済み、そのまま生活を継続できたという報告があります。
壁量計算では、「屋根の重さ」や「積雪」、「家具の荷重」などを詳細には考慮しません。しかし許容応力度計算では、重い瓦屋根にするのか、軽い金属屋根にするのか、太陽光パネルを載せるのかといった具体的な条件を入力し、それによる負荷を正確に計算します。
出典)耐震等級3を証明するなら構造計算!品確法との違いと騙されないための注意点
不確実性の高いリスクに対処するには、簡易的なチェックではなく、精緻なシミュレーションによる裏付けが必要です。私たちコウヨウが許容応力度計算にこだわる理由は、まさにここにあります。お客様の「想定外」をなくし、論理的に安全を担保したいのです。
松山市や今治市などエリアごとの地盤特性と基礎設計の重要性
建物の上部構造がいかに強固であっても、それを支える足元、つまり「地盤」と「基礎」が脆弱であれば意味がありません。愛媛県は東西に長く、地域によって地盤の特性は大きく異なります。許容応力度計算を行う大きなメリットの一つは、こうした地域ごとの地盤リスクを計算に反映させ、最適な基礎設計ができる点にあります。
私たちは、松山市、今治市、四国中央市、西条市、新居浜市の5市を中心に家づくりを行っていますが、それぞれのエリアで注意すべきポイントがあります。
まず、松山市の中心部周辺(城南・城北エリアなど)は、扇状地と呼ばれる地形が多く見られます。一見安定しているように見えますが、場所によっては地震の揺れが増幅しやすい傾向があります。データによれば、松山市内の一部では地盤増幅率が「1.28」という数値を示しており、これは揺れが表層地盤で約1.3倍に強まることを意味します。
松山市(中心部周辺)
揺れが増幅しやすい扇状地
一部で地盤増幅率1.28。鉄筋を密にするなど、増幅された揺れに耐える基礎設計が必要。
今治市(沿岸・埋立地)
液状化リスク
強い揺れで地盤が液体のようになる現象。詳細な調査と地盤改良が不可欠。
新居浜市
地形が複雑
海側は液状化・不同沈下、山側は造成地の安定性に注意が必要。
四国中央市・西条市
断層帯と地下水
中央構造線断層帯のリスクや、豊富な地下水による地盤軟弱化を考慮。
このような地域では、標準的な基礎よりも鉄筋を密に入れたり、地中梁を設けたりして、増幅された揺れに耐える基礎を設計する必要があります。
次に今治市ですが、沿岸部や埋立地においては、強い揺れによって地盤が液体のようになる「液状化現象」のリスクが指摘されています。今治市の建築住宅課もハザードマップでの確認を呼びかけています。
液状化のリスクが高い土地では、スウェーデン式サウンディング試験だけでなく、ボーリング調査などのより詳細な調査を行い、必要に応じて地盤改良工事を行うことが不可欠です。
新居浜市も同様に、臨海部の埋立地と山側の傾斜地が混在する複雑な地形をしています。海側では液状化や不同沈下(家が不揃いに沈むこと)への対策が、山側では造成地の安定性の確認が重要になります。
また、四国中央市は「中央構造線断層帯」が東西を横断しており、直下型地震のリスクも考慮しなければなりません。西条市においては、豊富な地下水(自噴水)の影響による地盤の軟弱化に注意が必要です。
出典)四国中央市耐震改修促進計画 令和4年12月 四国中央市
許容応力度計算では、こうした「土地の個性」を数値化して入力します。「この土地は揺れやすいから基礎を強くしよう」「ここは液状化の恐れがあるから杭を打とう」といった判断を、勘や経験ではなく、計算結果に基づいて行えるのです。画一的な「ベタ基礎だから安心」という考えではなく、その土地に合わせた最適解を導き出すことこそが、私たちが考える誠実な基礎設計です。
耐震性能とデザインを両立する住宅会社の選び方|構造計算を実施しているか確認する
「耐震性を高めると、壁が増えて窓が小さくなる」「安全な家は、デザインがつまらない」。家づくりを検討されている方から、このような悩みをよく耳にします。性能とデザインはトレードオフ(二律背反)の関係にあると思われがちですが、それは大きな誤解です。
実は、許容応力度計算(構造計算)を正しく行うことで、むしろデザインの自由度は広がります。なぜなら、計算によって「どこまでなら安全か」という境界線が明確になるため、過剰な壁を減らし、必要な部分にだけ強度を持たせるという、メリハリのある設計が可能になるからです。
耐震性とデザインを両立できる会社を選ぶためには、以下の視点でその会社の実力を確認することをお勧めします。
全棟で許容応力度計算による耐震等級3を標準仕様とする会社を選ぶ
まず確認すべきは、その会社が「全棟で許容応力度計算を実施しているか」という点です。
多くの会社で「構造計算はオプション(別料金)」とされています。しかし、私たちはこれを全棟標準仕様としています。なぜなら、構造計算は家の骨組みを決める最も重要な工程であり、これを省いてはお客様に「最適解」を提案できないと考えるからです。
許容応力度計算を行うと、すべての柱や梁の太さ、接合部の金物の種類が、着工前に完全に決まります。現場での行き当たりばったりな変更がなくなり、工場でプレカットされた木材が計算通りに組み上がるため、施工精度も格段に向上します。
また、コストの面でもメリットがあります。計算によって部材の無駄を省けるため、過剰な補強によるコスト増を防ぎつつ、必要な強度を確保できます。これは、限られた予算の中で性能とデザインのバランスを最大化する、極めて合理的なアプローチです。
吹き抜けや大開口のリビングでも耐震性を損なわない設計力を見極める
開放的な吹き抜けや、庭とつながるような大きな窓(大開口)は、コウヨウが得意とする「機能美あふれる居心地のいい空間」の象徴です。これらを実現するために、私たちは「水平構面(すいへいこうめん)」の解析を徹底的に行います。
家を箱に例えると、地震の時に箱が歪まないようにするためには、壁だけでなく、蓋(屋根)と底(床)がしっかりと固まっている必要があります。これが水平構面の強さです。
吹き抜けを作ることは、床に穴を開けるようなものです。壁量計算のような簡易チェックでは、この穴による強度の低下を正確に把握するのが難しく、安全のために「吹き抜けはやめた方がいい」「窓を小さくしよう」という判断になりがちです。
しかし、許容応力度計算を行えば、吹き抜け周りの床を部分的に補強したり、専用の金物を使ったりすることで、強度が保てることが数値で証明できます。
また、南面に大きな窓を取りたい場合も、計算に基づいて「門型フレーム(ラーメン構造)」のような特殊な構法を組み合わせることで、耐力壁を減らしながら大空間を実現できます。「計算しないから不安で制限する」のではなく、「計算して安全を確認できるから大胆にデザインする」。これが、テクノロジーがデザインを解放するという私たちの考え方です。
コウヨウが提案する「最適解」としての耐震住宅|テクノロジーと意匠設計の融合
私たちは、お客様に「高気密・高断熱・省エネ・耐震」という高性能な住まいを提供することを約束しています。しかし、性能だけで満足するのではなく、そこに住まうご家族が心からくらしを楽しめるような、意匠性の高さも同時に追求しています。
「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」において、大賞受賞(1回)や特別優秀賞を8年連続で受賞している実績は、私たちの性能へのこだわりが客観的に評価された証の一つです。この高い省エネ性能の基盤にあるのが、確かな構造設計です。断熱材の性能を最大限に発揮させるためにも、家自体の隙間をなくし、歪みのない強固な構造体を作ることが欠かせません。
繰り返す余震に備える制震性能と長期的な資産価値を守る構造
南海トラフ地震のリスクに対処するため、私たちは「耐震」に加えて「制震」という技術を提案しています。
耐震等級3
硬くて強い
地震のエネルギーを
「受け止める」
+ 制震ダンパー
揺れを吸収
熱エネルギーに変換して
「揺れを抑える」
耐震等級3の家は、非常に硬くて強い家です。しかし、硬いということは、地震のエネルギーをまともに受け止めることでもあります。一度の大きな揺れには耐えられても、その後繰り返される余震によって、釘が緩んだり、接合部が傷んだりして、徐々に強度が低下していく可能性があります。
そこで有効なのが「制震ダンパー」です。これは、地震の揺れを熱エネルギーに変換して吸収する装置です。耐震構造で建物を支えつつ、制震ダンパーで揺れ幅を抑えることで、建物へのダメージを蓄積させないようにします。揺れを抑えることは、構造体だけでなく、外壁のひび割れや内装の損傷といった軽微な被害を防ぐことにもつながります。
家が損傷しないということは、地震後の補修費用を最小限に抑えられるということです。これは、ご家族の生活再建資金を守るだけでなく、将来家を売却することになった際にも、「構造計算書付きの無傷の家」として高い資産価値(リセールバリュー)を維持できることを意味します。
客観的な数値根拠に基づき家族の未来を守る「賢明な投資」
「構造計算や制震装置を入れると高くなるのでは?」と心配される方もいらっしゃるでしょう。確かに、初期費用(イニシャルコスト)はかかりますが、地震保険料の削減(最大50%オフ)により、長期的にはその差額を十分に回収できる試算となります。
耐震等級3を取得していると、愛媛県のような地震保険料率が高い地域では、長期間で見れば数十万円単位の節約になります。
出典)地震保険の保険料の割引制度について教えてください。 – 損害保険Q&A
また、フラット35Sなどの住宅ローン金利優遇プランも利用しやすくなります。そして何より、万が一被災した際に、建て替えや大規模修繕の費用がかからないという点は、金銭的な安心感において計り知れない価値があります。
初期費用を抑えてリスクを抱え続けるか、最初に適正なコストをかけてリスクをコントロールするか。論理的に考えれば、後者の方がトータルの支出(ライフサイクルコスト)を抑えられ、ご家族の未来にとって「賢明な選択」であることは明白です。私たちは、こうした長期的な視点に立ったご提案を大切にしています。
愛媛の耐震性能に関するよくある質問に回答
最後に、耐震性能について、お客様からよくいただくご質問にお答えします。
私たちは、データと根拠に基づき、お客様の理想の暮らしを形にするお手伝いをしています。デザインも性能も妥協したくない、そんな賢明な家づくりを目指す方は、ぜひ一度ご相談ください。
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