愛媛の冬は床下エアコンが正解?エアコン暖房との光熱費やデメリットを比較解説

愛媛の冬は床下エアコンが正解?エアコン暖房との光熱費やデメリットを比較解説

松山市・今治市・四国中央市・西条市・新居浜市にお住まいで、これから家づくりをご検討中の皆様へ。

「愛媛は温暖な地域」と言われますが、冬の朝、布団から出るのが辛いほどの「底冷え」を感じたことはありませんか?

せっかく新しい家を建てるなら、足元から暖かく、かつ光熱費を抑えた賢い暮らしを実現したいと考えるのは当然のことです。

この記事では、近年注目を集めている「床下エアコン」について、その仕組みからエアコン暖房との光熱費比較、メリット・デメリットまでを徹底的に解説します。

本記事のポイント

床下エアコンが、なぜ愛媛の冬に適した「最適解」と言えるのか、その物理的な理由。
一般的なエアコン暖房や床暖房と比較した際の、具体的な光熱費と導入コストの違い。
導入して後悔しないために知っておくべきデメリットと、施工会社選びの絶対条件。

なぜ床下エアコンなのか

床下エアコンは、単なる暖房器具ではなく、家の「断熱性能」と「設計力」を組み合わせることで初めて実現する、高度な暖房システムだからです。仕組みを正しく理解することで、皆様の家づくりにおける「コスト」と「快適性」のバランスを劇的に改善できる可能性があります。

例えば、一般的なエアコンと比較しても、納得感のあるわずかな差額で、LDKだけでなく廊下や脱衣所まで家中が暖かい生活が実現できるとしたらどうでしょうか?

「機能美あふれる居心地のいい空間」と「経済的な合理性」の両立を目指す方にとって、この記事が最良の判断材料となることをお約束します。

【免責事項】
本記事に含まれる光熱費のシミュレーションやコスト試算は、一定のモデルケース(断熱性能HEAT20 G2グレード、松山市等の気象条件)に基づいた目安であり、実際の建物の大きさ、プラン、使用状況、燃料調整費の変動等により結果は異なります。また、紹介する技術情報は執筆時点(2025年)のものであり、将来的な仕様変更等の可能性を含みます。導入の際は、必ず専門家による個別の診断と見積もりをご確認ください。

床下エアコンとは?仕組みと床暖房との違いを解説

「床下エアコン」という言葉を初めて耳にする方も多いかもしれません。あるいは、「床暖房の一種?」とイメージされている方もいらっしゃるでしょう。

まずは、このシステムがどのようにして家を暖めるのか、その基本的な仕組みと、よく比較される床暖房との決定的な違いについて、技術的な視点から分かりやすくひも解いていきます。

床下エアコンが足元から部屋全体を暖める仕組み

床下エアコンとは、特殊な業務用の大型機械を使うものではありません。一般的に家電量販店などで販売されている、6畳から14畳用程度の家庭用エアコンを1台使用します。

最大の特徴は、エアコンを壁の高い位置ではなく、床面に近い位置や床下空間に向けて設置し、「床下全体」を暖房の空気室(チャンバー)として利用するという点です。

具体的には、以下のような3つの熱の伝わり方(熱移動の3原則)を巧みに組み合わせることで、足元からじんわりとした暖かさを生み出しています。

1. 対流 (Convection)

エアコンから吹き出された温風が、基礎断熱された床下空間全体に行き渡ります。これにより、床下のコンクリートや基礎の立ち上がり部分が温められます。コンクリートは熱を蓄える性質(蓄熱性)が高いため、一度温まると冷めにくいという特徴があります。

2. 伝導 (Conduction)

床下空間に充満した熱は、床材の裏側から表面へと伝わります。これにより、床そのものが室温よりもわずかに高い温度(20℃〜23℃程度)に保たれます。直接触れる床が冷たくないため、体感温度が向上します。

3. 輻射 (Radiation)

ほんのりと温まった床面からは、「遠赤外線」として熱が放射されます。この輻射熱が、室内の壁や天井、家具、そして私たちの体を直接温めます。太陽のぽかぽかとした暖かさと同じ原理です。

この仕組みにより、床下エアコンは「風が直接顔に当たって不快」「足元だけが寒い」といった従来のエアコン暖房の弱点を克服し、頭寒足熱(ずかんそくねつ)という、人間が生理的に最も快適と感じる温熱環境を作り出すことができるのです。

出典)住宅の省エネルギー基準と評価方法に関する技術情報

床暖房との違いは「導入コスト」と「暖房範囲」

「足元が暖かい」という点では共通していますが、床下エアコンと一般的な「温水式床暖房」は、その構造もコストも全く異なるものです。

どちらが優れているかという単純な話ではなく、皆様の予算や求める快適性の質によって「最適解」は異なります。

以下の表に、主な違いをまとめました。

比較項目 床下エアコンシステム 一般的な温水式床暖房
(ガス/ヒートポンプ)
機器・熱源 家庭用ルームエアコン1台(汎用品) 専用熱源機 + 床下の配管パネル
暖房の仕組み 床下空間全体の空気を温める(対流・伝導・輻射) 足元の床材を直接温める(伝導・輻射)
暖房できる範囲 LDK、廊下、洗面脱衣所、トイレを含む1階全域 パネルを敷いた場所のみ(通常はLDKの一部)
導入コスト 低〜中
(エアコン本体+設置工事費のみで済む場合が多い)

(配管部材、専用熱源機、施工費が高額)
メンテナンス フィルター掃除のみ。
故障時も家電店で買い替え可能(15万円前後)。
不凍液の交換(数年毎)。
熱源機交換が高額(10〜15年で30〜50万円)。
故障時のリスク エアコン交換で即復旧。 配管トラブルの場合、床を剥がす大工事のリスクあり。
体感温度 床が「冷たくない」自然な暖かさ。 足裏が直接「温かい」と感じる強めの熱。

【ここがポイント】

最大の違いは「暖房範囲」と「コストパフォーマンス」です。

床暖房は、パネルが敷かれている場所(例えばリビングのソファ前やダイニングテーブルの下など)は非常に暖かいですが、一歩そこから外れて廊下やトイレに行くと、急激な温度差を感じることがあります。

一方、床下エアコンは、基礎空間全体がつながっているため、LDKだけでなく、廊下、洗面所、トイレの床下まで暖気が回ります。これにより、家中の温度差が少ない「温度のバリアフリー」が実現しやすくなります。

また、将来エアコンが故障した際も、特殊な設備ではなく市販のエアコンに買い替えるだけで済むため、長期的なメンテナンスコスト(ライフサイクルコスト)において圧倒的に有利です。

私たちコウヨウが床下エアコンを推奨するのは、単なる流行ではなく、このように「家全体の快適性」と「将来の経済的負担の軽減」を両立できる合理的なシステムだからなのです。

参考)床下エアコン空調を採用したパッシブデザイン住宅における…【日本建築学会学術講演梗概集】

愛媛の冬の寒さ対策に床下エアコンが注目される理由

「愛媛は暖かいから、そこまでの暖房設備は必要ないのでは?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際に愛媛で暮らす多くの方が、冬場の家の中での寒さに悩まされています。

なぜ、温暖なはずの愛媛で、これほどまでに床下エアコンのようなしっかりとした暖房対策が求められているのでしょうか。地域特有の気候特性からその理由を解説します。

温暖な愛媛でも「足元の底冷え」対策が重要な訳

愛媛県、特に瀬戸内海側の松山市・今治市・西条市・新居浜市・四国中央市エリアは、年間を通じて晴天が多く、日照時間が長いのが特徴です。気象庁のデータを見ても、平均気温は比較的温暖です。

しかし、住環境において注目すべきは「平均気温」ではなく、「最低気温」と「温度差(日較差)」です。

晴れた冬の日は、夜間に地表の熱が宇宙空間へ逃げていく「放射冷却現象」が強く働きます。これにより、明け方の気温は氷点下近くまで下がることが珍しくありません。

この時、家の基礎となるコンクリートや地面が冷やされ、その冷気が床を通して室内に伝わることで、強烈な「底冷え」が発生します。

また、愛媛県内の既存住宅の多くは、温暖地(地域区分6または7)という区分にあるため、北海道や東北地方に比べて断熱基準が緩やかに設定されてきた歴史があります。「冬はどうせ短いから」と断熱性能が軽視された結果、外気の影響を受けやすい「無断熱」や「低断熱」の家が多く残っているのが現状です。

さらに、近年は共働きのご家庭が増え、朝の支度や帰宅後の家事を効率よくこなしたいというニーズが高まっています。

起きた瞬間のキッチンが寒い、お風呂上がりの脱衣所が寒いといった環境は、単に不快なだけでなく、日々の活動の質を下げ、知らず知らずのうちにストレスを蓄積させます。

物理的に最も低い位置にある床下空間を暖め、冷たい空気が足元に滞留するのを防ぐ床下エアコンは、この愛媛特有の「底冷え」と現代のライフスタイルに対する、最も理にかなった解決策と言えるのです。

出典)愛媛県の気象データ(松山、新居浜等の平年値)

家全体の断熱性能が床下エアコンの効果を左右する

ここで一つ、非常に重要な真実をお伝えしなければなりません。

それは、「床下エアコンは、どんな家でも導入できる魔法の暖房器具ではない」ということです。

床下エアコンは、あくまで熱を供給する装置に過ぎません。その熱を逃さず、効率よく家全体に循環させるためには、建物自体、つまり「器(うつわ)」の性能が極めて高いレベルで求められます。

もし、隙間だらけの低断熱な住宅で床下エアコンを稼働させれば、せっかく暖めた空気は基礎の隙間や壁からどんどん逃げていき、電気代ばかりが高騰して全く暖まらないという悲劇が起こります。

床下エアコンを導入するための必須条件は以下の通りです。

条件1:基礎断熱工法

床下を室内空間の一部として扱うため、床そのものではなく、基礎のコンクリート部分で断熱し、外気を遮断する必要があります。

条件2:高い断熱性能(UA値)

愛媛県であっても、国の省エネ基準(等級4)では不十分です。コウヨウでは、HEAT20 G2グレード(UA値0.46W/m²K相当)以上の性能を推奨しています。これは、魔法瓶のように熱を逃がさない性能です。

条件3:高い気密性能(C値)

家の隙間の小ささを示すC値は、実測値で1.0cm²/m²以下、理想的には0.5cm²/m²以下が望まれます。気密性が低いと、「煙突効果」で暖かい空気が屋根から逃げ、床下の隙間から冷気が侵入してしまいます。

つまり、床下エアコンが採用できるということは、その会社が「高気密・高断熱・省エネ・耐震」といった住宅の基本性能に真摯に取り組み、確かな施工技術を持っていることの証明でもあるのです。

私たちコウヨウが、床下エアコンを標準的な選択肢としてご提案できるのも、全棟で気密測定を行い、数値に裏付けられた高性能な「器」を提供しているという自信があるからです。

出典)住宅の省エネルギー基準と評価方法に関する技術情報

床下エアコンの光熱費は高い?エアコン暖房と徹底比較

「家全体を暖めるなんて、電気代がすごく高くなるのではないか?」

これは、多くのお客様が抱く正直な懸念でしょう。特に、将来のために賢い資金計画を立てたいと考えている方にとって、ランニングコストは無視できない問題です。

ここでは、条件を揃えたシミュレーションに基づき、一般的なエアコン暖房と床下エアコンの光熱費を比較します。

なお、本シミュレーションは、「ホームズ君」や「QPEX」等の専門的な温熱計算プログラムを用いた一般的な高性能住宅モデルに基づく試算です。

【条件別】光熱費シミュレーションとランニングコストの目安

【試算の前提条件】

  • 建設地:愛媛県松山市
  • 延床面積:35坪(約115㎡)、2階建て
  • 断熱性能:HEAT20 G2グレード相当(UA値0.46W/m²K)の高気密高断熱住宅
  • 電気料金単価:35円/kWh(燃料調整費等含む想定)
  • 設定温度:室温20℃〜22℃をキープ

【暖房方式別:電気代比較シミュレーション】

暖房方式 運転モード 推定月間電気代
(1月ピーク時)
推定年間暖房費
(冬期合計)
快適性とコストの評価
A. 一般的な壁掛けエアコン
(LDKのみ稼働)
間欠運転
(在宅時のみON)
約6,000円
〜8,000円
約20,000円
〜30,000円
コスト最安
ただし、廊下や脱衣所は寒く、ヒートショックリスクが高い。
朝の暖まりも遅い。
B. 一般的な壁掛けエアコン
(LDKのみ稼働)
連続運転
(24時間ON)
約8,000円
〜10,000円
約30,000円
〜40,000円
壁・天井が蓄熱し快適性は向上するが、足元の寒さは残りやすい。
非暖房室との温度差は解消されない。
C. 床下エアコン
(1台で1階全域)
連続運転
(24時間ON)
約9,000円
〜12,000円
約35,000円
〜50,000円
コストパフォーマンス最大
1階全室(トイレ・風呂含む)が20℃前後で安定。
家全体の温度差が解消される。
D. 全館空調システム
(ダクト式)
連続運転 約15,000円
〜25,000円
約60,000円
〜90,000円
快適性は高いが、空気を運ぶファン動力の電力が加わるためコストは高め。
E. 温水式床暖房
(LDKのみ)
間欠運転
(タイマー併用)
約15,000円
〜20,000円
約50,000円
〜70,000円
ランニングコストは最も高い傾向。
ガス併用の場合、基本料金も二重にかかる場合がある。

【分析結果】

電気代の絶対額だけで見れば「A. 一般的なエアコンでの間欠運転」が最も安くなります。

しかし、「C. 床下エアコン」との差額は、冬のピーク時でも月額数千円程度です。

ここで重要なのは、その数千円で何が得られるかです。

床下エアコンの場合、この差額で「LDKだけでなく、廊下、洗面所、トイレを含む1階のほぼ全域(約17〜20坪)」が暖められています。

もし、壁掛けエアコンを使って洗面所や廊下まで個別に暖めようとすれば、複数台を設置・稼働させる必要があり、電気代は床下エアコンを大きく上回ることになります。

「わずかな追加コストで、ヒートショックのリスクを減らし、家中どこにいても寒くない生活が手に入る」。

この「家全体の質的向上」と「家族の健康」という価値を含めて考えれば、床下エアコンは極めて経済的で合理的な選択(コストパフォーマンスが良い)と言えるのです。

参考)無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 資源エネルギー庁
参考)期間消費電力量を省エネ性の目安に…日本冷凍空調工業会

イニシャルコスト(導入費用)を含めたトータルコスト比較

家づくりにおいて重要なのは、建築時の費用(イニシャルコスト)だけでなく、住み始めてからかかる費用、そして将来の修繕費用まで含めた「トータルコスト(生涯費用)」です。

床下エアコンの最大の強みは、このトータルコストの低さにあります。

初期費用が抑えられる(高性能住宅前提)専用の床暖房パネルや熱源機、あるいはダクト式の全館空調システムを導入する場合、数十万〜100万円単位の追加費用がかかることが一般的です。もちろん、床下エアコンを導入するには「基礎断熱」や「HEAT20 G2レベルの断熱性能」といった躯体性能の向上が必須条件となります。しかし、私たちコウヨウのように「標準仕様で高性能住宅(高気密・高断熱)」を提供している場合、躯体に関する追加費用は発生しません。その場合、床下エアコンの導入に必要な追加コストは「市販のエアコン+設置工事・ガラリ施工費」のみとなり、非常に安価に抑えることが可能です。
将来の交換費用が安い機械設備には必ず寿命があります。10年〜15年後、設備が故障した時のことを想像してください。温水式床暖房の場合、熱源機の交換に30〜50万円、万が一床下の配管から水漏れがあれば、床を剥がす大工事が必要になります。しかし、床下エアコンなら、近くの家電量販店で新しいエアコンを買ってきて取り替えるだけです。費用はエアコン本体代+工事費のみで済みます。

「家」は長く住み継ぐものです。15年後、30年後のメンテナンス費用まで見据えた時、汎用性の高いエアコンを利用するこのシステムは、非常に賢い投資であると私たちは確信しています。

床下エアコン導入のメリットと後悔しないためのデメリット

どのような優れた設備にも、メリットとデメリットの両面が存在します。

良い面ばかりを見て導入を決めると、住んでから「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。

ここでは、プロの視点からメリットとデメリットを公平に解説します。

メリット:家全体が均一に暖まりヒートショックを防ぐ

最大のメリットは、やはり「温度のバリアフリー化」です。

交通事故での死亡者数よりも多いと言われる、入浴中の「ヒートショック事故」。その主な原因は、暖かいリビングと寒い脱衣所・浴室との間の急激な温度差(10℃以上)にあります。

床下エアコンは、基礎空間を通じて脱衣所やトイレの床下も暖めます。これにより、家の中の温度差が小さくなり、体への負担が劇的に軽減されます。

また、床からの輻射熱による暖房は、風が直接肌に当たらないため、乾燥感や不快な風の動き(ドラフト感)を感じにくいという特徴があります。

「設定温度は20℃程度なのに、なんだかポカポカして暖かい」。

そんな、陽だまりのような質の高い暖かさは、代謝の低い女性やご高齢の方にとって、何にも代えがたい価値となるでしょう。

出典)冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!|消費者庁ニュースリリース

メリット:設置スペースを取らず室内がすっきりする

デザインやインテリアにこだわりたい方にとって、壁掛けエアコンの存在は悩みの種になりがちです。せっかくの美しい空間に、無機質な機械がポツンと付いているのは避けたいものです。

床下エアコンは、床に置くタイプや、ルーバー付きの家具の中に隠蔽して設置するケースが多く、生活者の視線に入りにくい工夫が可能です。

これにより、壁面がすっきりとし、背の高い家具を置いたり、カーテンレールを天井近くまで上げたり、吹き抜け空間を美しく見せたりといった「空間設計」の自由度が格段に上がります。

私たちコウヨウが目指す「機能美あふれる居心地のいい空間」を実現する上でも、床下エアコンは非常に相性の良い設備と言えます。

デメリット:基礎断熱が必須でリフォームでは導入が難しい

導入における最大のハードルは、建築的な構造の制約です。

先述の通り、床下エアコンには「基礎断熱工法」が必須となります。

現在のお住まいが床断熱(床の下に外気が通る構造)の場合、リフォームで床下エアコンを導入するには、床をすべて剥がし、断熱材を入れ替えるという大規模な工事(スケルトンリフォーム)が必要になります。

コストと工期が非常にかかるため、基本的には「新築時の特権」に近いシステムであるとご理解ください。

また、基礎断熱を採用する場合、床下のコンクリートが温まることで、シロアリにとっても居心地の良い環境になってしまうリスクがあります。

これを防ぐためには、防蟻成分を含んだ断熱材の使用や、物理的なシロアリ侵入防止対策、そして定期的な点検が不可欠です。この点については、施工会社の対策基準を必ず確認する必要があります。

出典)木造住宅の耐久性向上に関わる建物外皮の構造・仕様とその評価に関する研究【国土技術政策総合研究所】

デメリット:メンテナンスや故障時の対応方法を要確認

もう一つの注意点は、エアコンの運転制御に関する問題です。

床下という狭い空間にエアコンの温風を吹き出すため、エアコン本体の温度センサーが「もう設定温度まで暖まった」と誤解してしまい、部屋がまだ寒いのに運転を弱めてしまう「サーモオフ(ショートサイクル)」という現象が起きることがあります。

これを防ぐためには、

  • 温度センサーを本体から切り離して床上の居住空間に設置する
  • 有線リモコンを使って室温を正確に検知させる
  • 床下の空気の流れ(パス)を計算して設計する

といった、施工会社側の技術的なノウハウと工夫が必要です。

「ただ床下にエアコンを置けば良い」という単純なものではないため、実績のない業者に依頼すると、期待通りの効果が得られない可能性があります。

愛媛で床下エアコンを選ぶ・施工会社を探す際の重要ポイント

愛媛県内(松山市・今治市・四国中央市・西条市・新居浜市)で、床下エアコンの導入を成功させるための鍵は、「施工会社選び」にあります。

機器の性能よりも、家づくりの技術力が問われるこのシステムにおいて、どのような視点でパートナーを選ぶべきか、3つの重要ポイントをお伝えします。

愛媛での施工実績と高気密・高断熱住宅の知識が豊富か

床下エアコンは、高気密・高断熱住宅とセットで初めて機能します。

そのため、検討している工務店やハウスメーカーが、どれだけ断熱・気密性能に精通しているかをチェックしてください。

一つの分かりやすい指標となるのが、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」などの公的な受賞歴です。

これは、省エネルギー性能に優れた住宅を表彰する制度であり、客観的な技術力の証明となります。私たちコウヨウも、この賞において1度の大賞受賞と、8年連続の特別優秀賞受賞という実績を積み重ねてきました。

また、全棟で気密測定(C値の測定)を実施しているか、UA値の計算根拠を提示できるかどうかも、その会社の実力を測るリトマス試験紙となります。

出典)ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー受賞者一覧

アフターサポートやメンテナンス体制が整っているか

暖房設備は、冬の生活を守るライフラインです。万が一の不具合があった際、迅速に駆けつけてくれる地元の会社であることは大きな安心材料です。

特に床下エアコンは、床下の点検(基礎のひび割れやシロアリ、水漏れの有無など)とセットで管理することが望ましいため、定期点検のメニューに床下チェックが含まれているかを確認しましょう。

松山市、今治市、四国中央市、西条市、新居浜市など、お住まいの地域での施工実績が多く、OB様(オーナー様)との関係性を大切にしている会社であれば、引き渡し後のトラブルにも誠実に対応してくれるはずです。

複数の業者を比較し見積もり内容の透明性を確認する

最後に、お金の話です。

住宅価格を「坪単価」だけで比較するのは危険です。床下エアコンの設置費用、基礎断熱への変更費用、ガラリの施工費などが、見積もりのどこに含まれているかを必ず確認し、「総額」で比較検討してください。

また、標準仕様のグレードも重要です。

例えば、水回り設備であれば、高耐久で手入れのしやすいタカラスタンダード(2025年時点)などが標準採用されているか。

外壁材であれば、地域の気候に適した窯業系サイディングや塗り壁が標準となっているか。

※一部で樹脂系サイディングを推奨する声もありますが、非常に高額で、かつ施工できる職人が限られるため、メンテナンス性を考えると慎重な判断が必要です。

さらに、瀬戸内海沿岸部にお住まいの場合は、塩害への対応費用が別途必要になるケースがあります。こうした細かい条件を含め、結論から申し上げれば、透明性の高い見積もり提示をしてくれる会社を選ぶことがトラブル回避の第一歩です。

【愛媛の施工会社・工務店への相談はこちら】

愛媛県(松山市・今治市・四国中央市・西条市・新居浜市)で、高気密・高断熱とデザインを両立した「機能美あふれる居心地のいい空間」をご検討中の方は、ぜひ一度コウヨウにご相談ください。

私たちのモデルハウスでは、実際に床下エアコンの快適さを体感していただけます。

床下エアコンに関するよくある質問

最後に、お客様からよくいただくご質問にお答えします。

夏(冷房)も床下エアコンで対応できますか?

回答:基本的には推奨されません。

物理法則として、「冷たい空気は下に溜まり、暖かい空気は上に上がる」という性質があります。床下から冷気を吹き出しても、その冷気は床下空間に留まってしまい、肝心の居住スペース(床上)まで上がってきにくいのです。

さらに深刻なリスクとして、高温多湿な日本の夏に床下のコンクリートを冷やしすぎると、床下空間で「逆転結露(夏型結露)」が発生し、カビや木材腐朽の原因となる恐れがあります。

【では、夏はどうする?】

夏は、2階のホールや階段室の高い位置に設置したエアコン(小屋裏エアコンや階間エアコンと呼ばれる手法)を使用し、冷気を上から下へ自然に降ろす冷房計画を推奨しています。

これにより、「冬は床下エアコン1台、夏は小屋裏エアコン1台」という、最小限の設備で家中の温熱環境をコントロールすることが可能になります。

この組み合わせこそが、愛媛の気候における最も効率的で賢い空調計画と言えるでしょう。

掃除やメンテナンスの頻度はどれくらいですか?

回答:一般的な壁掛けエアコンと同様、2週間〜1ヶ月に1回のフィルター掃除が目安です。

床下エアコンは床面に近い位置にあるため、通常の壁掛け位置よりもホコリを吸い込みやすい環境にあります。

しかし、見方を変えれば、「脚立を使わずに、立ったまま(あるいは座ったまま)楽にフィルター掃除ができる」という大きなメリットがあります。

「高いところの掃除が怖くて、ついつい放置してしまう」ということがなくなり、こまめなお手入れが習慣化しやすいと好評です。

また、年に1回程度は床下の点検口を開けて、基礎内部が乾燥しているか、水漏れがないかを目視確認することを推奨しています。

故障した場合の修理費用は高額になりますか?

回答:一般的な家庭用エアコンを使用しているため、修理費用も通常と同等です。

これが、全館空調システムなどの特殊設備との大きな違いです。

特殊なシステムの場合、専用部品の取り寄せやメーカー技術者の派遣が必要となり、修理費が数十万円になることも珍しくありません。

床下エアコンなら、万が一故障して買い替える場合でも、お近くの家電量販店で最新の省エネ機種を購入し、入れ替えることが可能です。

汎用性が高く、将来の負担が少ない点が、このシステムの大きな経済的メリットです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

床下エアコンは、愛媛の冬を快適に、そして賢く過ごすための非常に有効な選択肢です。

もし、このシステムにご興味を持たれたなら、ぜひ一度、その暖かさを肌で感じてみてください。

私たちコウヨウは、皆様の「最適解」を見つけるお手伝いができることを楽しみにしております。