愛媛でHEAT20 G2はオーバースペック?G1との違いと地域区分ごとの必要性を解説

愛媛でHEAT20 G2はオーバースペック?G1との違いと地域区分ごとの必要性を解説

愛媛県で高性能住宅を検討される際、「HEAT20 G2は、温暖な愛媛にはオーバースペック(過剰性能)ではないか?」というご相談は、私たちによく寄せられる疑問の一つです。

結論から申し上げますと、 G2は決してオーバースペックではなく、むしろ将来にわたって快適な暮らしと資産価値を守るための「合理的な投資」である と、私たちは考えています。

その理由は、G2基準がもたらす性能が、冬の寒さ対策だけでなく、愛媛特有の「夏の蒸し暑さ」の解消、光熱費の大幅な削減、そしてご家族の健康維持にまで直結するからです。

この記事では、HEAT20のG1・G2・G3の具体的な基準の違いから、愛媛県がどの「地域区分」にあたるのかという基礎知識、そしてG2を選ぶことの具体的なメリット(快適性、光熱費、健康)と、初期コストをシミュレーションしたデータまで詳しくひも解いていきます。

「G1で十分」という意見もありますが、G2を選ぶことがなぜ将来の「賢い選択」となるのか、その明確な理由がお分かりいただけるはずです。

免責事項:
本記事に掲載されている情報は、2025年10月時点の調査(記事本文中の各出典)に基づいています。住宅の性能基準や補助金制度は変更される場合がありますので、最新の情報は公的機関や専門家にご確認ください。

HEAT20とは住宅の断熱性能を示す等級(G1・G2・G3)のこと

HEAT20(ヒートトゥエンティ)とは、家づくりを検討される中で目にする機会が増えた言葉かもしれません。これは「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の略称で、民間の団体が中心となって定めた住宅の断熱性能や省エネ性能に関する基準(グレード)のことです。

(出典)環境に優しい高断熱住宅「HEAT20」とは?G1・G2・G3のグレードやZEH基準との違い

HEAT20が目指しているのは、単に「断熱材を厚くする」ことだけではありません。建物の外皮(屋根、壁、窓、床など)の性能を高めることで、 「室内の温熱環境」と「省エネルギー性能」を高いレベルで両立させる ことを目的としています。

性能に応じて「G1」「G2」「G3」の3つのグレードが定められており、G3が最も高い性能を示します。これらの基準は国の義務ではありませんが、2025年4月から新築住宅に義務付けられる国の「断熱等性能等級4」を、すべてのグレードが上回る高い水準となっています。

(出典)HEAT20とは何か分かりやすく解説|G1・G2・G3の基準や断熱等級との違い – クレバリーホーム

HEAT20が特に重視しているのは、「冬の寒い時期に、暖房を使っていない部屋の室温を何度以上に保てるか」という点です。これは、国の基準が主に熱の逃げやすさ(UA値)という計算値に注目するのに対し、HEAT20は私たちが実際に暮らす上での「快適性」や「健康」を最優先に考えていることを示しています。

愛媛県の多くが含まれる地域区分(4~7地域)では、以下のような室温を保つことを目標にしています。

(出典)住宅シナリオと外皮性能水準 | HEAT20【トップ】/2020年を見据え …

冬期の非暖房室における最低室温の目標(4~7地域)

G1グレード
おおむね 10℃
下回らない

G2グレード
おおむね 13℃
下回らない

G3グレード
おおむね 15℃
下回らない

冬の朝、暖房のない廊下や脱衣所が10℃なのか、それとも13℃なのか。このわずかな差が、実は日々の暮らしの快適さやヒートショックのリスクに大きく関わってくるのです。

愛媛県が該当する省エネ基準の「地域区分(6地域・7地域)」とは

HEAT20の基準を正しく理解するためには、まずご自身が家を建てる場所が、どの「地域区分」に該当するかを知る必要があります。

日本国内は、気候条件に応じて1(最も寒い北海道)から8(最も温暖な沖縄)までの8つの省エネ地域区分に分けられています。

(出典)環境に優しい高断熱住宅「HEAT20」とは?G1・G2・G3のグレードやZEH基準との違い

「愛媛県は温暖だから、すべて同じ区分」と思われがちですが、実はそうではありません。愛媛県内には「4地域」「5地域」「6地域」「7地域」という4つの異なる区分が混在しています。

(出典)H28省エネ基準(地域区分)

具体的には、以下のように分類されています。

表:愛媛県内の主な市町村と省エネ基準地域区分

地域区分
該当する主な市町村

4地域
久万高原町、新居浜市(旧別子山村)

5地域
大洲市(旧肱川町、旧河辺村)、内子町(旧小田町)

7地域
松山市、宇和島市、新居浜市(旧新居浜市)、松前町、愛南町

6地域
上記以外の全ての市町村(今治市、西条市、伊予市、東温市、四国中央市など)

(出典)H28省エネ基準(地域区分)

このように、同じ愛媛県内でも、冷涼な山間部の久万高原町(4地域)と、沿岸部の松山市(7地域)では、求められる省エネ基準が異なります。この記事で中心的に扱う「愛媛でG2はオーバースペックか?」という疑問は、主に県内の大半を占める6地域(今治市、西条市など) や 7地域(松山市など)で家づくりを検討されている方々からのご相談です。

G1・G2・G3で求められるUA値(断熱基準)の違いを一覧比較

HEAT20の各グレードは、具体的に「UA値(ユーエーち)」という数値で基準が定められています。

UA値(外皮平均熱貫流率)とは、建物の外皮(壁、屋根、窓など)全体から、どれだけ熱が逃げやすいかを示す指標です。 この数値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高い 家であることを意味します。

(出典)ヒート20とは?G1・G2・G3の違いからメリット・デメリット、断熱等級との関係まで徹底解説

愛媛県の大部分を占める6地域・7地域(および5地域)において、HEAT20の各グレードが要求するUA値は以下の通りです。

表:主要性能基準の比較(6・7地域)

基準
要求UA値 (W/(m²·K))
冬期の最低室温(目安)
国の断熱等級との相当関係

HEAT20 G3
0.26
15℃
断熱等性能等級7

HEAT20 G2
0.46
13℃
断熱等性能等級6

HEAT20 G1
0.56
10℃
断熱等性能等級5相当以上

ZEH基準
0.60
G1の10℃を下回る水準
断熱等性能等級5

2025年義務化基準
0.87
8℃未満
断熱等性能等級4

(出典)HEAT20のG2グレードとは?基準やG1・G3との違いを分かりやすく解説

この表から、いくつかの重要なことが分かります。

  • G2はG1より厳しい : G2(UA値0.46)は、G1(UA値0.56)よりも厳しい基準です。
  • G2はZEHより厳しい : G2(UA値0.46)は、ZEH基準(UA値0.60)よりもかなり厳しい基準です。
  • G2は義務化基準を大幅に上回る : G2(UA値0.46)は、2025年に義務化される基準(UA値0.87)のほぼ半分の数値であり、いかに高い断熱性能が求められるかが分かります。

(出典)UA値の目安とは?推奨レベルと断熱等級 – 福岡工務店

ZEH(ゼッチ)基準とHEAT20 G1/G2の断熱性能の違い

家づくりを調べていると、「ZEH(ゼッチ)」という言葉もよく耳にするかと思います。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、国が推進している住宅基準で、年間のエネルギー消費量を実質的にゼロにすることを目指す家です。

(出典)ZEH(ゼッチ)基準をわかりやすく解説!知っておきたい4つの条件 – レオフォース

ZEHを達成するためには、

  • 断熱性能の強化 (愛媛の6・7地域ではUA値0.60以下)
  • 高効率な設備(空調、給湯など)で省エネ
  • 太陽光発電などでエネルギーをつくる

これらを満し、年間の「消費エネルギー」と「創るエネルギー」の収支をゼロ(またはマイナス)にする必要があります。

(出典)ZEH(ゼッチ)基準をわかりやすく解説!知っておきたい4つの条件 – レオフォース

ここで重要なのは、 ZEHが「エネルギー収支」をゴールにしている のに対し、 HEAT20は「建物の断熱性能」と「室内の快適性」をゴールにしている 点です。

先ほどの比較表で見た通り、愛媛(6・7地域)におけるZEHの断熱基準(UA値0.60)は、HEAT20 G1(UA値0.56)と近いですが、 HEAT20 G2(UA値0.46)はZEH基準よりもはるかに高い断熱性能を要求しています。

「ZEH基準を満していれば十分」と考えることもできますが、ZEH基準の家(UA値0.60)では、冬の最低室温の目安はG1の「最低室温10℃」を下回る水準と考えられます。真の快適性を追求するならば、太陽光発電などの設備に頼る前に、まずは家の「器」である断熱・気密性能そのものを高めるHEAT20 G2の考え方が、より本質的であると私たちは考えています。

愛媛の気候(6地域)でHEAT20 G2はオーバースペックなのか?

ここからが本題です。愛媛県(6地域・7地域)の比較的温暖な気候で、UA値0.46という非常に高い断熱性能を持つ「HEAT20 G2」は、本当に必要なのでしょうか。それとも、過剰な性能(オーバースペック)なのでしょうか。

「G1(ZEH基準)で十分」は本当か?G2が必要とされる理由

「G1(UA値0.56)やZEH基準(UA値0.60)でも、国の義務化基準よりはずっと高性能なのだから、それで十分ではないか」というご意見は、確かに合理的です。G1レベルの住宅も、従来の家に比べればはるかに快適で省エネです。

しかし、私たちはG2をお勧めするケースが多いです。その理由は、 G1の「最低室温10℃」とG2の「最低室温13℃」の差が、私たちが体感する「快適さの質」において決定的な違いを生む からです。

(出典)HEAT20のG2グレードとは?基準やG1・G3との違いを分かりやすく解説

室温10℃(G1)

依然として「寒い」と感じる温度です。暖房の効いたリビングから一歩出た廊下やトイレは寒く、強い抵抗を感じます。

室温13℃(G2)

「寒くない」と感じ始める温度です。厚着をしなくても家の中を自由に活動でき、行動の制約がなくなります。

G1の住宅では、どうしても暖かい部屋と寒い部屋という「温度のバリア」が家の中に存在しがちです。それに対し、G2が目指す家全体の均一な暖かさは、この心理的なバリアを取り払い、家全体を有効活用できる開放感につながります。

この「我慢できる」レベルから「真に快適」なレベルへの質の向上こそが、G2を選ぶ第一の理由です。

さらに、愛媛の気候を考えたとき、冬の寒さだけが見過ごされがちですが、愛媛の夏は「暖かく、蒸し暑く、湿度が高い」という特徴があります。

(出典)松山 の気候、月別の気象、平均気温(日本) – Weather Spark

G2レベルの高い断熱性能(低いUA値)は、冬に熱を逃がさないだけでなく、 夏に外からの厳しい日射熱の侵入を防ぐ ことにも直結します。G2達成のために使われる高性能な窓(樹脂サッシやトリプルガラスなど)は、夏の日差しを遮る能力(ηAC値:平均日射熱取得率。数値が低いほど高性能)も非常に高いのです。

(出典)断熱等性能等級6/HEAT20 G2外皮水準 5~7地域

また、G2レベルの性能を出すためには、断熱性(UA値)だけでなく、家の隙間を減らす高い気密性(C値:相当隙間面積。数値が低いほど高性能)が不可欠です。この高い気密性は、夏の湿った熱気の侵入を効果的に防ぎ、冷房や除湿の効率を飛躍的に高めます。

冬の暖かさだけでなく、 愛媛の「夏の蒸し暑さ」を、より少ないエネルギーで快適に乗り切る ためにも、G2の性能は極めて有効なのです。

結論:G2はオーバースペックではなく将来の快適性と資産価値への投資

以上の分析から、私たちの結論は明確です。

HEAT20 G2は、愛媛の気候において「オーバースペック」では決してありません。

むしろ、冬の寒さ、夏の暑さと湿気という、愛媛の気候課題に対応するための「合理的な仕様」であると言えます。

さらに、HEAT20の認証は、その住宅が客観的に高い性能を持つことの証明となり、将来的に売却する際にも有利に働く(=資産価値が落ちにくい)可能性があります。

(出典)HEAT20とは何か分かりやすく解説|G1・G2・G3の基準や断熱等級との違い – クレバリーホーム

近年、エネルギー価格は高騰傾向にあり、気候変動による猛暑日も増えています。このような将来の不確実性を考えたとき、G2のような高性能住宅は、外部環境の変化に対する「強さ(レジリエンス)」を持っています。

電気代が高騰しても光熱費は低く安定し、猛暑日でも少ないエネルギーで安全な室内環境を保てる。G2への初期投資は、単なる贅沢や出費ではなく、今後数十年続く家族の快適な暮らしと、住宅の資産価値を守るための、長期的かつ戦略的な「投資」であると位置づけるのが妥当です。

G3はやりすぎ?愛媛でG3レベルを採用する場合の判断基準

では、さらに上のG3(UA値0.26、最低室温15℃)はどうでしょうか。

G3レベルになると、愛媛(6・7地域)においては、冬でもほぼ無暖房に近い状態で家全体を15℃以上に保つことが可能になります。これは、北海道(1・2地域)のG2基準(UA値0.28)に匹敵する、極めて高い性能です。

(出典)断熱等性能等級6/HEAT20 G2外皮水準 1~2地域 – パラマウント硝子工業

このレベルの性能を達成するには、断熱材のさらなる厚みや、より高性能な窓が必要となり、G2に比べても初期コストは大きく増加します。

G3を選ぶかどうかの判断基準は、「コストパフォーマンス」よりも「どれだけエネルギーに依存しない、究極の快適性を追求するか」という価値観による部分が大きくなります。G2でも十分に快適な暮らしは実現できますが、エネルギー価格の将来的なリスクを極限まで減らしたい方や、健康上の理由(例えば、室温が血圧に大きく影響するなど)で一切の妥協をしたくない方にとっては、G3は検討に値する選択肢となるでしょう。

愛媛でHEAT20 G2以上を採用する具体的なメリット4選

G2を「投資」と位置づける理由について、さらに具体的なメリットを4つの側面からご紹介します。

メリット1:圧倒的な室内の快適性

最大のメリットは、やはり「快適性」です。G2住宅は、家全体の温度が均一で安定していることが特徴です。

冬は、非暖房室(廊下、脱衣所、トイレ)でも最低室温13℃を目指すため、リビングとの温度差が大幅に縮小されます。

(出典)高性能住宅工法 | … | 特長 | 快適 – LIXIL

「冬の朝、布団から出るのが辛い」「暖房をつけているのに足元が寒い」といった、従来の住宅で当たり前だった不快感を根本から解消します。

(出典)ヒート20とは?…徹底解説

夏は、高性能な断熱材と窓が外からの熱気をシャットアウトし、高い気密性が湿気の侵入を防ぐため、エアコンが効率よく効き、カラッとした涼しい室内環境を少ないエネルギーで維持できます。

メリット2:光熱費(電気代)の大幅な削減

高い断熱・気密性能は、冷暖房の効率を飛躍的に上げ、光熱費の削減に直結します。

HEAT20 G2住宅は、2025年の義務化基準(断熱等級4)の住宅と比べ、暖房に必要なエネルギーを約50~55%も削減できるという試算があります。

(出典)HEAT20の快適性と省エネ性|福岡工務店…

さらに具体的なシミュレーションでは、断熱等級4の住宅からG2仕様の住宅に変更し、全館を連続で暖房した場合、 年間の冷暖房費は121,000円から54,000円へと、年間約67,000円削減される という結果も出ています。

(出典)脱炭素社会に向けた 住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会 提言資料

これは、住宅ローンを支払っている30年以上の期間中、ずっと継続する経済的なリターンです。

メリット3:ヒートショックリスクの低減と健康維持

住宅の温熱環境は、ご家族の健康に直結します。

特に冬場、暖かいリビングから寒い脱衣所や浴室へ移動した際の急激な血圧変動による「ヒートショック」は深刻な問題です。年間約19,000人もの方が、入浴中に急死していると推計されています。

(出典)近畿大学と共同で、住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究論文を発表 – Newsroom

家全体の温度差を最小限にするG2住宅は、この ヒートショックのリスクを大幅に低減する 効果が期待できます。

(出典)HEAT20 G2とは?…メリットをプロが解説

血圧への影響:
起床時の室温が低いほど血圧が高くなる傾向が確認され、特に高齢者でその影響が顕著でした。断熱改修で室温が上昇した家では、居住者の血圧が有意に低下したという結果も出ています。

(出典)断熱改修等による居住者の健康への影響調査 概要 – 国土交通省

循環器系疾患のリスク:
世界保健機関(WHO)も、室温18℃未満の環境は健康リスクを高める可能性があると指摘しています。G2が目指す「最低室温13℃」は、このリスクを避ける上でも重要な基準です。

(出典)健康&快適生活|家選びの基準変わります – 国土交通省

メリット4:結露抑制と住宅の長寿命化

冬場の窓や壁の結露は、見た目が不快なだけでなく、カビやダニの温床となります。これらは喘息やアレルギー性鼻炎の主要な原因物質です。

(出典)HEAT20 G2・G3レベルの性能を叶える国内屈指の高性能仕様 | 健康住宅株式会社

G2レベルの高い断熱性能は、壁や窓の室内側の表面温度を高く保ちます。外がどんなに寒くても、室内側の表面温度が「露点温度」以下になりにくいため、 結露の発生を大幅に抑制する ことができます。

(出典)HEAT20 G2とは?…メリットをプロが解説

カビの発生が抑えられることは、ご家族の健康を守る(特にアレルギー疾患の改善)につながるだけでなく、もう一つ重要なメリットがあります。

それは、住宅の長寿命化です。

目に見えない壁の内部で発生する「内部結露」は、断熱材を濡らして性能を落とし、柱や土台といった大切な構造体を腐らせる原因となります。結露を抑えるG2住宅は、カビや腐朽菌の発生を防ぎ、家という大切な資産を健全な状態に長期間保つことにも貢献するのです。

HEAT20 G2を採用する前に知るべきデメリットと初期コスト

これまでにG2の多くのメリットをお伝えしてきましたが、もちろんデメリット(懸念点)もあります。それは、G1基準の住宅に比べて初期費用(建築コスト)が増加することです。

デメリット:G1基準の住宅に比べた初期費用(建築コスト)の増加

HEAT20 G2の高い性能を実現するためには、より高性能な建材と、より手間のかかる施工が必要になるため、その分建築コストが上がります。

(出典)HEAT20とは?メリット・デメリットやZEHとの違いを解説|美濃加茂市のふくもくの家

具体的な事例として、延床面積約33坪(約109㎡)の木造住宅をG1レベルからG2レベルへ性能向上させたケースでは、 約100万円の追加費用 が発生したと報告されています。

(出典)断熱性能HEAT20 G1をG2へアップするにはいくら費用が掛かるか …

この費用の内訳は、主に壁の断熱材を厚くする「付加断熱」の追加や、それに伴う下地・構造の変更、施工の手間の増加によるものです。

もちろん、これは一例であり、住宅の規模や設計によって金額は変動しますが、G2へアップグレードするには、G1に比べて100万円前後の追加投資が必要になる可能性があると見ておくのが現実的です。

シミュレーション:G2への初期投資は「回収」できるか?

G2への初期投資(例:100万円)は、「出費」ではなく「投資」です。そのリターン(投資対効果)は、3つの側面から評価できます。

1. 直接的リターン(定量):冷暖房費の削減

ここでも、国土交通省が関与したシミュレーションが参考になります。

ある試算では、断熱性能をG2レベルに向上させるための初期投資増額分70万円が、年間67,000円の冷暖房費削減効果により、約10.4年で回収可能であるとされています。

(出典)脱炭素社会に向けた 住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会 提言資料

表:コスト・ベネフィット シミュレーション概要

指標
断熱等級4住宅
HEAT20 G2住宅
差額/結果

初期投資増
基準
+ 700,000円

年間冷暖房コスト
121,000円
54,000円
– 67,000円/年

推定投資回収期間
約10.4年

(出典)脱炭素社会に向けた 住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会 提言資料

試算では、初期投資70万円は、年間6.7万円の冷暖房費削減により約10.4年で回収可能です。これは、一般的な住宅ローン返済期間(30~35年)を考慮すれば、経済的に十分に成立する投資です。

2. 間接的リターン(定性):健康維持と医療費リスクの低減

P.5で述べた通り、G2住宅はヒートショックのリスクを低減し、カビ・ダニによるアレルギー疾患を抑制します。これは、将来的に発生し得た高額な医療費の支出リスクを低減する「健康への投資」でもあります。

3. 将来的リターン(市場価値):資産価値の維持

近年のエネルギー価格高騰や、2025年の断熱義務化(等級4)は、住宅の省エネ性能への関心を急速に高めています。

将来、住宅を売却する際、G2基準(等級6相当)を満たした住宅は、G1(等級5相当)やZEH(等級5)、ましてや義務化基準(等級4)の住宅よりも市場で高く評価され、資産価値が落ちにくい(=有利な価格で売却できる)可能性が極めて高いと言えます。

結論:

G2への初期投資は、①光熱費削減だけで10年強で元が取れる可能性があり、さらに②家族の健康(医療費リスク)を守り、③将来の資産価値も守る、非常に合理的かつ戦略的な投資であると結論付けられます。

G2レベルの性能を出すために必要な断熱材や窓の仕様

では、G2(UA値0.46)という厳しい基準を達成するためには、具体的にどのような建材や仕様が必要になるのでしょうか。

断熱仕様:
一般的な、柱と柱の間に断熱材を入れる「充填断熱」だけではG2の達成は難しく、建物の外側をさらに断熱材で覆う「付加断熱(外張り断熱)」を組み合わせるダブル断熱工法が採用されることが多くなります。

(出典)HEAT20 G2・G3レベルの性能を叶える国内屈指の高性能仕様 | 健康住宅株式会社

または、非常に高性能な吹付け硬質ウレタンフォームのような断熱材を、壁に85mm、屋根に340mmといったかなりの厚みで施工する必要があります。

(出典)ヒート20仕様 – 株式会社ジャパン断熱

窓の仕様:
家の中で最も熱が逃げやすい場所は「窓」です。G2基準を達成するためには、窓の性能が極めて重要です。
  • サッシ : 熱を伝えやすいアルミサッシではなく、 樹脂サッシ が必須です。
  • ガラス : 2層(ペア)ガラスではなく、 3層(トリプル)ガラス が標準的になります。
  • その他 : ガラスの間には断熱性能を高めるアルゴンガスが封入され、室内の熱を逃がさず、夏の日射熱を反射する Low-E(低放射)コーティング が施された高性能な窓が求められます。

(出典)断熱等性能等級6/HEAT20 G2外皮水準 5~7地域

愛媛でHEAT20 G2以上の高性能住宅を実現する工務店・メーカーの選び方

G2レベルの高性能住宅は、高性能な材料を使えば自動的に実現できるものではありません。設計図通りの性能を確実に出すためには、施工を行う工務店の技術力と経験、そして「ノウハウ」が何よりも重要です。

特に、断熱性能(UA値)と密接に関係する「気密性能(C値)」は、現場での丁寧な施工がなければ決して高い数値は出ません。どれだけ高性能な断熱材を使っても、家に隙間(C値が大きい)だらけでは、そこから熱が逃げてしまい、計画通りの性能は発揮されないのです。

(出典)C値(隙間相当面積)とは?計算方法や住宅性能との関係を解説 | 【ロゴスホーム】

愛媛でG2レベルの家づくりを任せられる、信頼できるパートナーを選ぶためには、以下の3つのポイントを必ず確認してください。

選び方1:UA値だけでなくC値(気密性)の測定実績も確認する

UA値は、設計段階で計算される「理論値」です。それに対し、C値(相当隙間面積)は、建物が完成した後に専用の機械を使って実際に測定される「実測値」です。

(出典)【プロが教える】C値の測定方法と注意点|高気密住宅の性能を正しく知ろう

G2レベルの性能を確実に得るためには、C値は1.0 (cm²/m²)以下、理想を言えば 0.5 (cm²/m²)以下 を目指すべきです。

(出典)ヒート20とは?…徹底解説

したがって、工務店を選ぶ際は、

  • 目標とするC値を低く設定しているか(例:0.5以下)
  • 建設する「全棟」で気密測定を実施しているか
  • その測定結果(気密測定報告書)を、施主にきちんと開示してくれるか

これらを確認することが最も重要です。これは、その会社の施工品質に対する自信と透明性の証となります。

選び方2:G2・G3レベルの施工実績が豊富か(特に6地域で)を確認する

高性能住宅の施工には、その地域特有の気候を理解した上でのノウハウが求められます。

例えば、寒い地域での実績が豊富でも、愛媛のような温暖で多湿な地域(6地域・7地域)での経験が十分とは限りません。特に、冬の断熱だけでなく、 夏の日射対策や湿気対策 など、愛媛の気候に最適化された設計・施工ができる実績(G2・G3レベルの施工実績)が豊富にある会社を選ぶべきです。

選び方3:断熱・気密のノウハウや使用建材を詳細に説明できるか

「なぜ、この断熱材を選ぶのか?」

「気密性を高めるために、具体的に現場でどのような施工を行うのか?」

「G1とG2では、壁の構造はどう変わるのか?」

こういった技術的な質問に対して、専門用語を並べるのではなく、 明確かつ論理的に、分かりやすく説明できる 担当者がいる会社は信頼できます。

専門的な知識を持ち、施主の疑問に真摯に答える姿勢は、その会社が品質に対して本気で取り組んでいる証拠です。

愛媛のHEAT20に関するよくある質問(FAQ)

最後に、HEAT20に関してよく寄せられるご質問にお答えします。

Q. 既存の住宅をリフォームでHEAT20 G2レベルにすることは可能か?

 A:はい、可能です。

近年の断熱リフォーム技術は大きく進歩しており、古い基準で建てられた既存の住宅でも、大規模な改修(性能向上リノベーション)を行うことで、G2レベル、あるいはそれ以上の性能を達成した事例も報告されています。

(出典)HEAT20G2・耐震等級3の性能向上フルリフォーム&フルリノベーション施工事例

実現するためには、壁への付加断熱、屋根や床の断熱強化、そして全ての窓を高性能な製品へ交換するなど、家全体を対象とした包括的な工事が必要となります。コストは新築より高くなる場合もありますが、リフォームに特化した高額な補助金制度(「先進的窓リノベ2025事業」など)を活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。

(出典)対象要件の詳細 – 先進的窓リノベ2025事業

Q. HEAT20 G2の家づくりで利用できる補助金(愛媛県・市町村)はあるか?

 A:はい、複数の補助金が利用できる可能性が高いです。

HEAT20 G2レベルの住宅は、国のZEH基準を上回る高い省エネ性能を持つため、国の補助金制度の対象となり得ます。

国の補助金(例:子育てエコホーム支援事業) :
ZEH水準以上の新築住宅に対し、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象に補助金が交付されます。

(出典)住宅省エネ2025キャンペーン!|…ワンズ・ホーム株式会社

それに加え、愛媛県や各市町村が独自に設けている補助金も活用できます。

愛媛県の補助金(例:愛媛県住宅取得支援補助金) :
省エネ基準を満たす住宅取得に対して補助制度があります。

(出典)【2025年度版】愛媛県の住宅補助金・支援制度最新情報まとめ – 家づくりスタジオ

松山市の補助金(例:松山市脱炭素加速化補助金) :
ZEH住宅に対して、市独自の手厚い補助制度を設けています(2025年度計画値)。

(出典)令和7年度 ゼロカーボン等に関する補助金 松山市公式ホームページ …

重要なのは、これらの補助金は多くの場合、 予算がなくなり次第終了となる先着順 であることです。家づくりの計画段階から最新情報を収集し、早めに申請準備を進めることをお勧めします。

Q. 愛媛(6地域)のG2と、寒い地域(3地域など)のG2は同じ仕様になるか?

 A:いいえ、同じ仕様にはなりません。

これがHEAT20の非常に合理的な点です。HEAT20の基準は、日本全国で一律ではなく、 各地域の気候に合わせて最適化 されています。

「G2」という同じグレードであっても、求められる断熱性能(UA値)は地域区分によって異なります。

  • 愛媛(6地域)のG2 : UA値 0.46 W/(m²·K)
  • 盛岡市など(3地域)のG2 : UA値 0.34 W/(m²·K)
  • 北海道(1・2地域)のG2 : UA値 0.28 W/(m²·K)

(出典)断熱等性能等級6/HEAT20 G2外皮水準 5~7地域

このように、より寒冷な地域ほど、より厳しい基準が設定されています。

この事実は、愛媛県に適用されるG2基準(UA値0.46)が、あくまで温暖な気候に合わせて調整された「適正な」基準であり、寒冷地の基準をそのまま持ち込んだ「過剰な(オーバースペックな)」ものではないことを示しています。

専門家の中には、HEAT20が外気温だけでなく日射量も考慮して基準値を設定している点を高く評価し、日照に恵まれた温暖地での過剰な仕様を防ぎ、コストパフォーマンスを最適化できる理想的な基準だと指摘する声もあります。

(出典)【お客様へのご提案】目指すべき省エネ性能はHEAT20 G2! | 有限 …

愛媛の気候を深く理解し、その上で冬も夏も、最小限のエネルギーで最大限の快適さを得る。そのための合理的な答えが、HEAT20 G2なのだと私たちは考えています。

まとめ:愛媛で「賢い選択」をするためのアクションプラン

HEAT20 G2が合理的な投資であるとご理解いただけたなら、次は行動に移す番です。後悔のない家づくりのために、以下の4ステップを実行してください。

ステップ1

家族の「快適レベル」を決める

G1(最低10℃:我慢できる快適さ)で十分か、G2(最低13℃:真に快適)を目指すのか。初期コストと将来の光熱費、健康リスクを天秤にかけ、ご家族で目指すレベルを話し合ってください。

ステップ2

土地の「地域区分」と「補助金」を確認する

  • [ ]ご自身の土地が愛媛の何地域(6地域、7地域、等)に該当するかを正確に把握してください。
  • [ ]国、愛媛県、お住まいの市町村(松山市など)で利用可能な補助金の最新情報(例:子育てエコホーム支援事業)と申請期限をリストアップしてください。

ステップ3

工務店に「3つの性能KPI」を質問する

候補の工務店には、必ず以下の目標値を達成できるか、そしてその実績があるかを確認してください。

  • [ ] UA値(断熱):0.46 (W/(m²·K)) 以下(G2基準)
  • [ ] C値(気密):0.5 (cm²/m²) 以下(高性能の実測値)
  • [ ] G1仕様とG2仕様の「差額見積もり」

ステップ4

G2の「快適さ」を実体験する

数値だけでは分からない「室温13℃の快適さ」や「夏のカラッとした涼しさ」を、G2レベルのモデルハウスや見学会で必ず ご自身の肌で体感 してください。

私たち興陽商事(KOYO ARCHITECTS)は、愛媛の気候を知り尽くした地元企業として、高気密・高断熱・省エネ・耐震性能を追求した家づくりを続けています。

HEAT20 G2基準はもちろん、G3レベルの施工実績も持ち、C値0.5以下を標準とした厳しい自社基準と、全棟での気密測定を徹底しています。

「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」を8年連続で受賞した客観的な実績と、建築家による洗練されたデザイン。その両方を高いレベルで実現する「最適解の家」にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度、私たちの家づくりの詳細がわかる資料をご請求ください。愛媛で「本当に賢い選択」をするためのヒントが詰まっています。

詳しいサービス内容や性能の詳細は、こちらの資料をダウンロードしてご確認ください。


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また、実際のG2レベルの住宅の快適さを体感できる見学会や、個別の相談会も随時開催しております。


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